本研究の目的はトランスを用いず,6.6kVクラスの大容量電力変換装置を実現することにより,パワーエレクトロニクス機器を大幅に小型化し,これまでにない分野に用途を拡大することにある。 本研究は節電効果が極めて大きい大容量電力変換器を扱い,構成が簡単なセル方式に着目し,高耐圧低周波と低耐圧高周波セルを組み合わせて構成する。この結果,大幅に少ない部品点数で実現できる。 本年度は前年度に作成したハイバッドセル評価装置を拡張し,多数の低耐圧セルの制御法を検証し,技術課題を抽出した。これによって,得られた知見をもとに6.6kVを想定したAC-ACマルチ電源対応電力変換器のミニモデルを製作し,大規模モデルを想定した課題の抽出を行なった。ミニモデルは安全のため低圧電源で動作するが,ひずみ率や電圧バランス制御などの評価を行った。 また,スイッチング素子の損失やキャパシタの大きさを理論的に明らかに,フルモデルでの設計指針を確立した。さらに,実験データから,損失の解析を行い,SiCデバイス適用時の特性を推定したところ,本研究により,従来の電力設備に比べ1/3~1/2の体積で同様な機能を実現できる見通しを得た。
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