研究課題/領域番号 |
25630106
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
佐々木 徹 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (90514018)
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研究分担者 |
菊池 崇志 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30375521)
中村 隆 釧路工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (40198213)
原田 信弘 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (80134849)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 発色加工 / 大気圧プラズマ / 誘電体バリア放電 |
研究概要 |
誘電体バリア放電から発生した大気圧プラズマによって金属表面に発色効果を得るために,表面酸化膜の膜厚の違いによる屈折率の変化と大気圧プラズマ照射時に発生する金属母材表面の荒さから発生する光の干渉に焦点を絞り,検討を行っている.本年度は,(1)生成されたプラズマ中の酸化剤(OHラジカルやオゾン,原子状酸素)と発色との関係,(2)酸化膜厚の測定,(3)酸化膜厚と表面荒さの光の干渉のモデリングを実施した. 生成されたプラズマ中の酸化剤と発色の関係を評価するため,レーザー誘起蛍光法及び可視及び近赤外領域の発光分光を行い,OHラジカル,オゾン,原子状酸素を計測した.その結果,誘電体バリア放電に投入する電力を変化させることで,OHラジカル及び原子状酸素の制御性を確認した.また,この大気圧プラズマを銅基板に照射した結果,OHラジカル及び原子状酸素の増加に伴い,基板表面の酸化物量が増大することが確認された.大気圧プラズマを照射した銅基板の発色について評価した結果,照射時間及び投入電力を増やすことで発色に要する時間が変化することも明らかとなった.一方,基板材料により不導体膜が形成され,発色しづらい材料があり,その加工方法について検討する必要があることが明らかとなった. 酸化膜厚と表面荒さの光の干渉のモデリングを実施するため,光学顕微鏡による目視観察およびレーザ顕微鏡による表面形状計測,分光器による発色スペクトル解析,粗面のモデル化と2次元電磁波シミュレーションを実施した.この結果,多層膜モデルのシミュレーションが完了し,発色要因に関する知見が得られた. これらの結果より,誘電体バリア放電から発生した大気圧プラズマによって金属表面に発色効果の実現とその制御性を高めるための基盤が実施できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度得られた知見により,(1)基板表面の酸化を促進しているのはOHラジカル及び原子状酸素であること,(2)基板表面に不導体膜が形成されることで酸化膜厚の制御性が低下すること,(3)基板表面の多層膜モデルのシミュレーションが完了し,発色要因に関する知見が得られたこと,が大きな成果である.そのため,誘電体バリア放電から発生した大気圧プラズマによって金属表面に発色効果を得るために,表面酸化膜の膜厚の違いによる屈折率の変化を明らかにすることが出来たため,当初の計画以上に進展していると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,基板表面に不導体膜が形成されることで酸化膜厚の制御性が低下することに対する方策について検証を進め,様々な材料に対する誘電体バリア放電から発生した大気圧プラズマによって金属表面に発色効果を得る条件を明らかにする.また,発色の任意性を高めるため,基板表面の多層膜モデルのシミュレーションの高度化を実施し,応用に必要なデータ解析を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定より外部資金を利用したことによって消耗品費にかかる費用が低下したため. 大気圧プラズマを発生させるための消耗品費に充てる予定である.
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