研究課題/領域番号 |
25630108
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
田中 康規 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (90303263)
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研究分担者 |
石島 達夫 金沢大学, サステナブルエネルギー研究センター, 准教授 (00324450)
堀邊 英夫 大阪市立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00372243)
上杉 喜彦 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (90213339)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アーク / 遮断器 / 電力 / 配線用遮断器 / 直流給電 / ポリマーアブレーション / 溶発 |
研究概要 |
1.ポリアミド系バルクへの熱プラズマ照射によるスポレーション粒子飛翔の熱流量依存性 ポリアミド材への熱流束を変更して,どの程度の熱流束でどの程度のスポレーション粒子が生じるかを検討した。粒子噴出の様子や,熱照射してからのスポレーション現象の持続性・即応性を高速度ビデオカメラを用いて測定した。さらにスポレーション粒子が飛翔する数を数値化し,その量的な比較を出来るようにした。 2. 分光スペクトル観測によるポリマー蒸発の確認 ICCD付の分光装置を用いて,スポレーション・アブレーションが生じている蒸気に対して分光スペクトル観測を行った。その結果,C2分子スペクトルが高い強度で観測されることが分かった。これはポリマーが分解し,その分解ガスにC2が含まることを示しており,分解ガスと熱プラズマとの相互作用を検討できるようにした。 3. ポリアミド材への吸水率制御実験 ポリアミド系バルクのスポレーション現象には吸水率が関係することを予備試験から見出している。そこで吸水率を制御して熱プラズマを照射し,スポレーション現象の発生頻度,噴出粒子の大きさ・スピード,粒子密度を高速度カメラで観測した。デシケータに3日程度入れてポリマバルク乾燥後,ポリマを煮沸することで吸水量を制御した。吸水量を前後の質量から測定した。 4. 吸水率を変化させたポリアミド材への熱プラズマ照射によるスポレーションマイクロ粒子の発現数への影響 Ar熱プラズマをポリマバルクに照射した場合,スポレーション粒子が飛翔する数へのポリアミド材吸水率の影響を確認した。特にポリマー壁から5mm以上飛翔するものを対象とし,確実に熱プラズマへの侵入が見込まれる粒子のみを対象とすることとした。その結果,吸水率が上昇することでスポレーション現象が促進されることが判明した。さらに分子性ガスとして酸素を混合した場合についても検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度,最も懸案であったポリアミド材への吸水率制御が行え,吸水率の多寡による熱プラズマ照射時のスポレーション現象を基礎的に検討できるようになった。さらにカラー高速度ビデオカメラにより,粒子が飛翔する様子を鮮明にとらえられるようになっており,ポリマーバルクから5mm以上飛翔する粒子の数をカウントできるようにした。また分子性ガスを導入した熱プラズマ照射にも取り掛かっている。研究分担者の一人がH25 年9月1日から所属が変更となり,ポリマー分析についてはH26年度に行うこととした。その代わりに,ポリマへ照射される熱流束の大小によりスポレーション粒子飛翔数を詳細な検討することを前倒しし,定量的に詳細に検討できるようになった。そのため総合的に進展はおおむね順調と考えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後も,計画書にあるように進める。具体的には,分子性ガスを導入した熱プラズマをポリアミド材に照射する実験,その際における熱流束の影響の検証実験,スペクトル観測からのポリマ蒸気温度の見積もり,アーク実験への適用を実験的に進めていく。さらに数値解析的に粒子飛翔プログラムを改良し,熱プラズマ照射時におけるポリマー粒子飛翔解析から,粒子の初期半径,初期速度を明確にすることで,どの程度のエネルギーがスポレーション粒子飛翔に使用されているのか,さらにスポレーション粒子飛翔によるアークの冷却効果を理論的に検討する。またH26年度はさらにポリマーの表面分析を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
最も大きな理由は,研究分担者の一人が所属機関をH25年10月1日から変更し,そのためにポリマー分析装置の移動と再立ち上げを行ったために,本格的なポリマー分析実施をH26に移動させたことである。しかし,他の計画を前倒ししていることもあり,全体的には研究は進んでいる。H25年度に行ったポリマーの分析はFT-IRについては研究代表者が別途,依頼して行ったものでありその数は限られている。 すでにポリマー分析装置の移動,再立ち上げを終えており,本格的なポリマー分析実施も研究代表者と研究分担者間で直接4月初旬に打ち合わせを終えている。このため,H26年度はポリマー分析を含めて使用計画通りに推進できるものと考えている。
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