研究課題/領域番号 |
25630112
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
秋山 秀典 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 教授 (50126827)
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研究分担者 |
ホセイニ ハミドレザ 熊本大学, パルスパワー科学研究所, 教授 (00543406)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | パルスパワー / 食物の軟化 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
パルスパワー技術の近年の進展により、環境、医療・福祉、農漁業等、幅広くパルスパワー応用が展開している。農業に関しては、植物成長促進や砂糖大根や葡萄からのジュース抽出増量等にパルスパワーが使われ、一部製品化している。本研究では、パルスパワーを印加することにより、果物、野菜、肉が柔らかくなることを明らかにするとともに、そのメカニズム解明を行う。また、パルスパワーのパルス幅、電界強度、印加回数を変えて、レオメーターで測定することにより、かたさの定量的計測を行う。これら研究成果は、例えば、嚥下困難により飲む込む力が低下したり、堅いものをかめなくなった高齢者への新しい非加熱(低温)調理器の提供につながり、福祉や食品提供の質の向上につながる。平成26年度は、食品に含まれるビタミンCの栄養素をパルスパワー印加の有無で調べ、その変化がないことを確認した。また、人参を薄くスライスして、パルスパワーを印加して、細胞へのパルスパワーの影響を調べた。顕微鏡にスライスした人参を置き、パルスパワーを印加し、高速度カメラで観測した。パルスパワーが維管束にも影響していることが分かり、組織に影響を与えることで軟化していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度に計画していた、色々な食品に対する含有栄養素の定量的計測に関しては、ビタミンCについて調べた。平成27年度は継続して、26年度に別予算で購入した高速液体クロマトグラフィーを用いて他のビタミンについても調べる予定である。また、野菜を薄く切って顕微鏡で細胞への影響解明に関しても、顕微鏡にスライスした人参を置き、パルスパワーを印加し、高速度カメラで観測した。パルスパワーが維管束にも影響していることが分かり、組織に影響を与えることで軟化していることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
1.色々な食品に対する色々な含有栄養素のパルスパワーの有無による変化について明らかにする。26年度に別予算で購入した高速液体クロマトグラフィーを用いて各種ビタミンについて調べる。 2.安全面から細胞内遺伝子への影響解明を行う。シロイヌナズナの成長に対するパルスパワーの影響について、ゲノムアレイシステムを用いて遺伝子レベルで解析した。同様の方法により、人参の絵電子へのパルスパワーの影響を調べる。 3.パルス幅がナノ秒からマイクロ秒までのパルスパワー電源で、果物や植物の軟化実験を行ってきたが、ミリ秒までパルス幅を広げた実験を行う。
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