研究課題/領域番号 |
25630121
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石川 靖彦 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60303541)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | エピタキシャル / 結晶成長 / 電子・電気材料 / 格子欠陥 / 半導体物性 |
研究実績の概要 |
本研究では、SOI(Si-on-insulator)ウエハ上へ無転位のGe層(~1 um)をエピタキシャル成長することを目標とする。SOIウエハ上へのGe成長は、Ge光デバイスをSiチップへ集積する上で重要な技術である。しかし、GeはSi に比べて格子定数が4%大きく、無転位のGe成長は実現できていない。本研究では、新しいアプローチとして、数 nm~数10nmに極薄化したSOIウエハの上部Si層(以下、SOI層)をパターン化し、Ge成長を行う。Geの膜厚が臨界膜厚(数nm)を超えると、Ge中の圧縮格子ひずみの緩和に伴い、通常はGe中に貫通転位が導入される。本研究では、SOI層を極薄化・パターン化することで機械的強度を低下させ、Geの格子緩和時にSOI層中への転位導入を試みる 。Ge中での転位発生の抑制による高品質化を期待している。 平成26年度は、前年度のプロセス開発をもとに、極薄化(約10nm)・パターン化したSOIウエハを作製し、さらに超高真空化学気相堆積法によりGe選択成長を実施した。ソ ースガスにはAr希釈GeH4を用い、低温Ge緩衝層を用いる二段階成長(370/600°C )を行った。通常のSiウエハやSOIウエハでは平坦なGe(膜厚500nm)が得られる条件を用いたが、極薄化・パターン化したSOIウエハ上には平坦な表面は得られなかった。成長前熱処理の条件を変更した範囲では、平坦なGe層は得られていない。他の成長条件を変化させるなど、極薄化・パターン化したSOIウエハ上へ平坦なGe成長を実現できるかを明らかにし、その後、Ge層の低転位化に対する効果を明らかにする予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
極薄SOI層のパターン形成とGeの結晶成長を実施でき、おおむね順調に進展していると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、極薄化・パターン化したSOIウエハ上へのGe選択成長を進める。成長温度などの成長条件を変化させることで、極薄化・パターン化したSOIウエハ上へ平坦なGe成長を実現できるかを明らかにする予定である。極薄SOI層上へGeを成長した際に本質的に表面粗さが増加するかどうかを見極める。平坦なGe層の形成が可能な場合には、Ge層の低転位化に対する効果を明らかにする。
|