研究課題/領域番号 |
25630123
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
須田 良幸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10226582)
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研究分担者 |
塚本 貴広 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50640942)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ゲルマニウム / 仮想基板 / エピタキシー / サファクタント / ヘテロ接合 / 高速デバイス |
研究実績の概要 |
LSIは微細化によって高速化を図ってきた。近年、Siよりキャリア移動度の高いGeのトランジスタの搭載が検討されており、下地としてGe基板ではなくSi基板上への平坦なGe層の形成(Ge仮想基板)が求められている。研究代表者らは近年、高濃度のPドープSi基板上に、直接平坦なGe膜が形成されることをスパッタ法を用いて示した。さらに、初年度、高濃度のBドープSi基板上でも直接平坦なGe膜が形成できることを示した。これらはスパッタ法におけるGeの低表面泳動長に関与して均一成長を促し、90度界面転位を伴って歪をある程度残して平坦成長することを解析した。次に、実際のデバイス製造を考慮して、比較的抵抗の高い数Ωcmの基板上でのGeの平坦化成長条件を探索した。その結果、成長速度を上げると、より微細な島が形成されることが判った。これは表面上での吸着Ge同志の衝突回数が増えるためと考えられた。より微細な島からなるGe膜はより高い歪を包含し、より平坦化成長した。微細な島は緩和される前に島同士が有機的に結合され、界面に90転位を伴ってより平坦化すると考えられた。また、一度初期成膜で微細な島を形成すれば、その後成長速度を下げてもGe膜が平坦に成長していくことが判った。これは、形成された島状Ge膜の凹凸周期がある範囲の場合、結合サイトの多い凹部に泳動Geが安定的に固定化され、成長過程で表面が次第に平坦化されるためと解析できた。また、RMS=0.23nmの極めて平坦でCVD法より低い貫通転位密度のGe膜が得られた。Si直上Ge平坦膜では電流が主に転位の多い界面を流れることが判った。このため電気的に膜面に垂直方向で整流性となる多層Ge構造にすることで、有効なチャネルの形成が可能となると期待される。以上スパッタ法を用いて、Si直上の平坦化Geの形成条件を明らかにし、デバイス形成のための指針を示した。
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