SiCワイドバンドギャップ半導体の酸化膜へテロ界面に対して、外部からのビーム照射によってMOS界面の電気特性を改善するビーム励起「界面」反応技術を提唱し、電気エネルギーの変換効率に優れたSiC-MOSパワーデバイスの実現を目指している。初年度では、波長可変レーザーを用いて熱酸化SiO2/SiC構造に紫外線を照射し、波長200nm以下の高エネルギー光照射によって界面欠陥が活性化することを示した。本実験結果から、SiC-MOS界面の構造欠陥の起源としてC=C二重結合が考えられる。さらに、次年度ではカソードルミネッセンス法によってSiO2/SiC構造を評価し、界面の極近傍に発光効率が非常に高い構造欠陥が存在することを示した。また、この発光性の構造欠陥は電子線照射によって構造変化を起こすことを確認した。光や電子ビームを用いたこれらの評価結果は、外部からのビーム励起でSiO2/SiC界面の欠陥を選択的に改質可能であることを意味している。今後は、これらのビーム励起界面反応で構造変化を誘起した界面欠陥を効率的に終端化するための後処理技術の探索を継続する。
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