研究実績の概要 |
強誘電体一次元ナノ構造(ナノロッド、ナノワイヤ)は基板上に作製することが難しく、半導体一次元構造に比べてその基礎物性や応用研究が遅れている。本研究では、ZnOナノロッドを凸型テンプレートに用いる独自のMOCVD(有機金属気相成長)法によりナノロッドやナノワイヤといった強誘電体一次元ナノコアシェル構造をパターン化させた電極上に選択成長させ、それを強誘電体不揮発メモリ(FeRAM)のデータ保持用立体キャパシタに応用し、今だ実現されていないGbit級超高集積FeRAMへの展開を図ることを目的する。 最終年度は、1)MOCVD法により高アスペクト比のZnOナノロッドを成長させることができた。作製条件のより最適化を図り、再現性が向上した。2)強誘電層として、今年度は新しい強誘電体として注目を集めている(Hf,Zr)O2を用いた。その際、最適成長条件やアニール条件の確立ををPt/SiO2/Si基板上で図った。3)斜方晶の強誘電相を含む多結晶の(Hf,Zr)O2をZnOナノロッド上に堆積することができた。4)さらにZnOを堆積することにより、ZnO/(Hf,Zr)O2/ZnOコアシェルナノロッド構造をPt/SiO2/Si基板上に作製することに成功した。 研究期間中に、ZnO/PZT/ZnOおよびZnO/(Hf,Zr)O2/ZnOナノロッドキャパシタ構造をPt/SiO2/Si基板上に作製することに成功した。また、パターン化したPt上にのみZnOナノロッドを選択的に成長させることが出来た。今後の課題としては、ナノロッドキャパシタの電気的特性の測定を行い、3次元立体メモリの実現に向けた知見を得ることである。
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