本研究では分子の有する多彩な機能(ナノスケールでのサイズ均一性、光応答性、スピン機能)を量子ドットとしてトンネル2重接合素子の中に組み込むことにより無機材料では実現できない新しい機能を持ったスピンメモリを開発することを目的としている。原子層堆積法によって絶縁特性に優れた平坦なアルミニウム酸化膜を強磁性電極上に形成し、様々な分子を量子ドットとして集積化したトンネル2重接合を形成することに成功した。特にC60を量子ドットに用いた試料において分子軌道を介した共鳴トンネル電流を観測することに成功し、強磁性電極から注入されるキャリアを分子軌道によって制御できることを明らかにした。
|