本研究は、環境(アンビエント)エレクトロニクスに整合する大面積かつフレキシブルなシート型のアクティブマトリックス近赤外光センサシステムを印刷技術で実現することを目的とし2年間のプロジェクトとして取り組んできた。特に、近赤外光センサシートは印刷により作製した大面積有機トランジスタ駆動回路、バルクヘテロ接合型有機PN接合(フォトディテクタ)アレイ、有機発光ダイオード(LED)アレイにより構成し、各レイヤ-の作製技術およびその最適化を行った。最終年度には、大面積プラスティックシート(50×50 cm2)の上に作製し、近赤外光の反射光計測により人、物などの動きを3次元かつリアルタイムで検出することを目標とし、取り組んできた。
より具体的には、初年度(平成25年度)は、実効面積50×50 cm2のプラスティックシート上に64×64の赤外領域光センサシステムを印刷技術で試作して、原理実験を行った。静止している対象物に対して、面センサの最大の特長である「対象物の3次元情報の取得」を目標とし、これを実施した。26年度はシステム全体の動作を精密に評価し、高性能化を進めた。具体的には、1.センサの応答速度(フレームレート)、2.センサの応答距離(検出限界距離)、3.空間分解能、の三つのテーマを中心に性能の向上を推し進める。最終的には、実用化に耐える応答速度10kHz、応答距離10m、空間分解能1cmというセンサ性能への道筋をつけた。
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