研究課題
挑戦的萌芽研究
超伝導共振法に基づき、断熱モードQFP 回路の演算エネルギーの評価を行った。測定では1つの断熱モードQFP ゲートを高Q 超伝導共振器と結合させ、外部Qをネットワークアナライザにより測定した。この量からQFP ゲートの損失を見積もった。以上の測定により、断熱モードQFPゲートは、10zJのビットエネルギーで動作することを実験により明らかにした。更に、このエネルギーは回路シミュレーションにより得られた結果と一致することを示した。また、熱雑音を考慮した回路シミュレーションにより、断熱モードQFP ゲートのビットエネルギーの評価を行った。これにより、断熱モードQFP ゲートのビットエネルギーはクロック周波数に比例して減少することを示した。更に低クロック周波数において、断熱モードQFP ゲートの消費エネルギーは、Landauerリミットとして知られるk_BT ln2より小さくなることを明らかにした。この際、ゲートは十分に低エラーレートで動作することを確認した。一方、3つの3入力QFP 多数決回路で構成される可逆QFPゲートを提案した。提案回路の論理的な可逆性を回路シミュレーションにより調べ、回路が可逆回路として動作することを示した。また、回路のビットエネルギーを評価し、可逆QFPゲートの消費エネルギーは、入力の論理パターンによらず、低クロック周波数でLandauerリミット以下になることを示した。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書における目標である、断熱モードQFPゲートのエネルギー評価を単一のゲートにおいて実験により検証することができた。これにより得られた10zJのビットエネルギーは、半導体CMOS回路に対して5桁以上の優位性があり、本ゲートの有効性を示すことができた。また、数値シミュレーションにより、Landauerリミット以下のビットエネルギーでの断熱モードQFPゲート、ならびに可逆QFPゲートの動作を確認することができた。以上の成果は、当初目標を十分に達成していると言える。しかしながら、実験による多段の断熱モードQFPゲートを用いたビットエネルギー評価は現在実施中であり、来年度の実施課題である。
断熱モードQFP 回路の演算エネルギーの評価については、他段の断熱モードQFP回路のエネルギー評価を通して、演算エネルギーの下限値を測定する。情報の消去とコピーに対応する演算エネルギーを測定し、演算のエントロピーとLandauer リミットの関係について考察する。可逆QFP回路の提案と動作実証については、前年度に提案し、回路シミュレーションによりビットエネルギーの評価を行った可逆QFP回路を試作し、回路の動作実証を試みる。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (52件) (うち招待講演 7件) 備考 (1件)
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