研究課題
周波数固定の高出力光源「ジャイロトロン」からの高出力サブミリ波を用いて巨大な電子スピン分極を核スピンに移行する(動的核偏極(DNP))ことにより、固体NMR分光の感度に関して、約600倍の向上を達成した。本研究では、さらに、本来、テラヘルツ高出力光源である「ジャイロトロン」に周波数変調機能を装備することにより、電子スピン共鳴の周波数に幅を持たせて、DNPの対象となる電子スピン共鳴幅を拡張して、核スピンへ移行する電子スピン分極を一桁増強することを可能にし、NMR分光の感度をさらに一桁高め10,000倍以上の感度向上を可能とするNMR分光の極限的技術を開発する。平成26年度の研究実績を述べる。1) 動作周波数は電子の回転周波数(即ち、電子のサイクロトロン周波数)に等しく、従って、磁場の強度に比例し、電子の質量に反比例する。本プロジェクトでは、高速の周波数変調が必要であることから、電子ビームのエネルギーを変調することにより、相対論効果で電子の質量を変調して周波数変調を実現する方法を用いて、電子ビームの加速電圧の変調幅を2kVまで変えることにより周波数変調幅約100 MHz を達成した。2) 1日以上の長時間・安定化動作 ジャイロトロンの出力は、電子ビーム電流の変化によって変化する。出力をモニターし、ヒーターに供給される電力をPID制御することにより、電子ビーム電流を安定化して、出力の安定化を達成する。1日以上の長時間に亘る安定動作のためには、実験室の温度制御が必要である。3) ジャイロトロン・システムのコンパクト化、通常、高周波のNMR装置は、大規模装置の一つである。このためジャイロトロンは、アクセスが容易なように、コンパクト化する必要がある。超伝導マグネットと高電圧電源をコンパクト化することにより、全高1m床専有面積3m2 のコンパクトなジャイロトロンシステムを完成させた。
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