研究課題
本研究計画は、接合部が微小のSiナノpn接合の特徴を生かした新原理デバイスを提案・実証することを目指すものであり、特にナノpn接合で顕著となるドーパント原子の個別性を利用して、ドナー・アクセプター準位間の共鳴トンネリングを用いた原子型トンネルダイオードを世界に先駆けて実現することを目標とする。前年度(H25年度)は、pnダイオードのドーパント濃度は1E18cm-3のオーダーであって、低温域で拡散電流にランダムテレグラフシグナル(RTS)が現れること、これが、pn接合部の個別オーパントの帯電効果によるものであることを報告した。H26年度は、バンド間トンネル電流を実現するために、より高濃度(約1E20cm-3)の2次元(極薄膜)pnダイオードを作製し、低温で明瞭な負性微分コンダクタンス(NDC)を観測した。これは、通常のトンネルダイオードで見られる特性であって、特に新しいものではない。しかし、同一水準のいくつかのダイオードでこのNDCに重畳するように鋭い電流ピークが観測された。これは、接合部のドーパント準位を介した「増強された共鳴トンネル」と解釈され、大きな発見となった。ドーパント準位を介するとバンド間トンネリングが増大することは第一原理計算からも裏付けられた。また、高濃度領域の電位分布をKFMで観測したところ、ドーパントの配置揺らぎに伴う大きな電位の揺らぎが観測され、これが接合部で大きな役割を果たしている可能性もある。以上のことから、接合部でのドーパントを介したバンド間トンネリングを観測することができ、本計画の当初の目標をおおむね達成することができたと考える。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (31件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)
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