生体分子などを磁性微粒子を利用して検出するスピン波デバイスを開発するために,スピン波の伝搬に適した垂直磁化膜の開発を行うとともに,そのスピンダイナミクス計測を行った。Co/Ni多層膜は,積層周期1nmにおいて大きな垂直磁気異方性を示すこと,TaよりPt下地層を用いた方が異方性が大きくなることが示された。スピンダイナミクスの観察においては,ポンプ光によって励起された歳差運動が,300 ps以上持続することが確認され,フィッティングにより求めたダンピング定数も,0.020という小さな値を示した。Co/Ni多層膜がスピン波デバイスに適した材料であることが明らかとなった。
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