研究課題
前年度は、グラフェンをコートした半絶縁性InP(100) (Graphene/InP) からの放射テラヘルツ波をレーザーテラヘルツ放射顕微鏡(LTEM)を用いて測定し、グラフェンの堆積がInPからの放射テラヘルツ波に与える影響を計測した。その結果、大気中、及び真空中でGraphene/InPからの放射テラヘルツ波の波形が時間変化し、その変化が酸素の吸着・離脱によるものであることを明らかにした。今年度は、UV光を照射することにより、Graphene/InPからの放射テラヘルツ波の波形が劇的に変化することを見いだした。さらに、基板がInAsや電子ドープもしくはホールドープされたInP基板を用いた場合は、大きなテラヘルツ波の波形変化は観測されなかった。これらの実験結果を基に、酸素分子の吸着によりグラフェン/InP基板界面で双極子が形成され、InP表面のポテンシャルが増加することによりテラヘルツ波の波形が変化すると言うモデルを提案した。また、グラフェンと同様に二硫化タングステン(WS2)を用いて同様の実験を行った結果、グラフェンの場合と同じく、大気中では酸素吸着によるテラヘルツ波形の変化が観測されたが、グラフェンとは酸素の吸着・離脱の条件が異なることを見いだした。これらの結果は、このような2次元ナノ材料と半絶縁性InP基板の接合により、ナノ材料表面の酸素の吸着・離脱(酸化・還元)反応の計測が可能であることを示しており、また2次元ナノ材料の新規な評価法としてての展開も期待できる。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件)
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