研究課題/領域番号 |
25630154
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
大石 泰丈 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80360238)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 中赤外光 / 光物性 / 非線形光学 / 微細構造光ファイバ / 高非線形ガラス |
研究実績の概要 |
(1)GeTeSe系のカルコゲナイド光導波路を用いて10μmに亘るSC光の発生に成功した。 (2)テルライトPCFのOH基吸収の低減に成功した。その結果、SC光をこれまで困難であった3.3μmにまで伸長することに成功した。テルライトPCF により3μmを超えるSCの発生に成功したのは初めてである。(3)テルライトPCFを用いて、高効率分散波発生に成功した。励起光からの変換効率は65%であった。この結果より、ソリトン波を利用した高効率波長変換が可能であることを実証した。 (4)カルコゲナイドガラスコア・テルライトガラスクラッドのハイブリッドPCFの作製に初めて成功した。このPCFの波長分散と構造との相関を詳細に検討した結果、1から3μmに亘り低分散にできるPCF構造があることを見出した。その構造を持つPCFにより2800nmの帯域の光パラメトリック増幅が可能であることを明らかにした。この広帯域光パラメトリック増幅は石英ファイバでは実現できないカルコゲナイドPCFの大きな特徴であることを明らかにした。 (5)テルライトガラスによりなる全固体フォトニックバンドギャップファイバにおいてもカルコゲナイドガラス同様フォトニックバンドギャップの動的制御が光励起で100nm以上可逆的に可能であることを明らかにした。また、コア・クラッドガラスに使用できるガラス素材を開発し、テルライトガラスによりなる全固体フォトニックバンドギャップファイバの作製に成功し、その特性検証を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)カルコゲナイド光導波路を用いて10μmに達するSC光の発生に成功し、10μm以上の波長域にSC光を伸長する見通しを得た。(2)テルライトPCFのOH基吸収の低減に成功した。その結果、SC光をこれまで困難であった3.3μmにまで伸長することに成功し、テルライトPCF により3μmを超えるSCの発生を実証した。 (3)テルライトPCFを用いて、高効率分散波発生に成功し、変換効率65%を実証した。この結果より、ソリトン波を利用した高効率波長変換に見通しを得た。 (4)カルコゲナイドガラスコア・テルライトガラスクラッドのハイブリッドPCFの作製に初めて成功した。このPCFの波長分散と構造との相関を詳細に検討した結果、1から3μmに亘り低分散にできるPCF構造があることを見出した。その構造を持つPCFにより2800nmの帯域の光パラメトリック増幅が可能であることを明らかにした。この広帯域光パラメトリック増幅は石英ファイバでは実現できないカルコゲナイドPCFの大きな特徴であることを新たに示した。 (5)テルライトガラスによりなる全固体フォトニックバンドギャップファイバにおいてもカルコゲナイドガラス同様フォトニックバンドギャップの動的制御が光励起で100nm以上可逆的に可能であることを明らかにした。また、コア・クラッドガラスに使用できるガラス素材を開発し、テルライトガラスによりなる全固体フォトニックバンドギャップファイバの作製に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)分散波の長波長化には、群速度や位相整合、さらに閉じ込め損失を十分考慮したPCF構造設計が重要になる。そのためには、分散制御の高度化が必要になるため、ハイブリッドPCF構造も取り入れていく。また多種のPCFを連結した構成も必要になると考えられる。多段構成の励起法も検討する。 (2) PCFの透過特性の向上も重要な課題となると考えられる。ファイバ作製装置の電気炉構造等の工夫を進めてきたが、今後も作製技術の高度化が求められるため、引き継き取り組んでいく。(3)励起手法の検討もさらに重要になる。また、各種波長の励起光源の開発も重要になると考えられるので取り組んでいく。 (4)今後のPCFの特性解析には、評価手法の高度化が必要になる。発生した光のコヒーレント特性の評価も必要になると考えられるため、取り組んでいく。(5)ハイブリッドPCFの分散波発生のための優れたポテンシャルを明らかにできたので、今後ともその特性が実現できるPCFの開発に注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度はPCF構造の設計やその特性評価・解析に注力しPCF作製に使用するファイバ原料の購入を抑えたため、予算執行額がやや減少した。
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次年度使用額の使用計画 |
前年度出た予算残額は、本年度ファイバガラス原料である酸化テルルの購入に使用する。また、今後も計画に従って執行していく。
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