研究課題
最終年度の主要成果は、以下の通りである。1) 本研究代表者らが提案している信号点分布近似に基づくMIMO信号検出法は、最適検出により達成できる誤り率特性に線形検出と同等の計算量で近接できるが、未だその特性差にはギャップがある。そこで本年度は、この手法に対して(誤り訂正符号の軟判定復号法の一つである)Chase復号法と同様の発想に基づく繰り返し検出法を適用することで、最適検出法により近接する特性を達成できることを示すとともに、特性改善とそれに要する計算量との間のよりよいトレードオフを実現できることを明らかにした。2) 上り回線におけるマルチユーザMIMOシステムでは、一般に各ユーザの伝搬路特性によりそれらが達成できる信頼性およびデータレートが異なる。そこで本年度は、各ユーザの伝搬路環境に応じて変調方式および符号化率を適応的に変化させることで、ユーザ間の通信品質の差違を抑える適応符号化変調システムを提案し、そのスループット特性の改善効果を示すことで有効性を示した。3) 送受信機がともに数十から数百本程度に及ぶ膨大な数のアンテナを用いる大規模MIMOシステムは、大容量のデータレートを安定して供給できることが理論的に示されているが、その実用上の問題点の一つとして、(MMSEなどの線形検出手法を用いても)信号検出に要する計算量が膨大となることが挙げられる。そこで本年度は、簡易な整合フィルタと干渉除去を組み合わせるとともに、通信路容量に近接する誤り訂正符号技術と併用することで、計算量の膨大化を抑えつつ、かつ優れた誤り率特性を達成できるMIMO検出手法を考案した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
IEEE Systems Journal(available online, September 2015)
巻: 未定 ページ: 1-12
10.1109/JSYST.2015.2469783
Proceedings of 2015 IEEE International Conference on Communications (ICC 2015)
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10.1109/ICC.2015.7248994
Proceedings of IEEE Global Communications Conference (GLOBECOM 2015)
巻: なし ページ: 1-6
10.1109/GLOCOM.2015.7417808