研究課題
研究代表者らが提案した超伝導ナノワイア直流駆動運動インダクタンス検出器は、駆動が直流電流であること、また検出器自身の発熱が少ないことから、イメージセンサなどの多ピクセル化に適している。しかしながら、検出器自身がナノワイア構造を持つことから、CCD並みの画素数を持たせるためには、x方向のリニアアレイ検出器とy方向のリニアアレイ検出器を積層する必要がある。その上で、被検出粒子の到来を直交する2つのリニアアレイ検出器で検出し、到来位置をXアドレスとYアドレスとして同定する。本研究ではそのために求められる以下の項目の研究を行った。(1)熱流入抑制のための検出器の直列配置によるリニアアレイ検出器の構成(隣り合う検出器間で直流バイアス電流は共有化する一方で、出力信号の回り込みは抑制する構成)、(2)各検出器の応答時間の短縮化、(3)微小振幅・短パルス幅の出力信号の高感度・低エラー率読出し、(4)リニアアレイ検出器が検出した粒子の位置をアドレスとして出力する信号処理回路。さまざまな検討の結果、超伝導検出器と超伝導信号処理回路を同一基板上に作製するモノリシックチップを構成することとした。上記(1)については、低域ろ過フィルタを検出器間に挟むことで解決した。(2)は、Nb/Moの2層構造でナノワイアを構成することで、Q値を低減化し、応答時間の短縮化を図った。(3)については、高感度磁気センサである超伝導量子干渉計を信号処理回路である単一磁束量子(RSFQ)回路のフロントエンドに配置し、高速高感度読出しを実現した。(4)については、RSFQ回路によって実現した。リニアアレイ・モノリシック検出器は、感度の評価は行っていないものの、フォトンの検出に成功している。また、読出し回路についても、基本動作を確認した。今後、イメージセンサとして、高感度化とともに室温エレクトロニクスの整備を行う予定である。
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IEEE Trans. Appl. Supercond
巻: Vol.23, No.3 ページ: 1800503
10.1109/TASC.2013.2238985