研究課題/領域番号 |
25630173
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
瀧口 浩一 立命館大学, 理工学部, 教授 (70633254)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 光電子融合技術 / 光信号処理 / 光論理回路 / 光パルスパターンジェネレータ / 光計測 / 光通信 |
研究概要 |
光計測、光通信の両方にとって有用な、任意速度、小型・簡便構成などの特徴を持つ「光・電子融合型疑似ランダム系列発生回路」の実現に向け、必須構成要素である光排他的論理和(Exclusive Or: XOR)回路の検討を行った。2種類の構成[(a)バランス受光器+強度変調器、(b)マッハツェンダ型干渉計+受光器+強度変調器]に関して、シミュレーションおよび基礎実験によって、基本特性、機能拡張性の評価、比較を行った結果、以下の知見が明らかになった。 1.(a)、(b)両構成とも、動作帯域は必要性能(数100 MHz~40 GHz)をカバー可能である。 2.光波の干渉を利用する(b)の構成では、通常の1入力受光器、低駆動電圧の電界吸収型半導体強度変調器を使用できるため、消費電力面では(a)の構成より優位である。しかし、疑似ランダム系列発生回路構成時の動作安定化のためには、2入力光波間の位相を波長の1/100オーダで安定化させる必要がある。 光・電子融合集積技術が未成熟なため、現状、疑似ランダム系列発生回路中の光遅延線はバルクあるいは光ファイバ光学系で構成する必要がある。従って、2.の位相安定化の要求条件から、今回は(a)の構成を用いて光XOR回路実現のための実験検討を行った。その結果、100 Mbit/s(光計測用)、10~40 Gbit/s(光通信用)の両ビットレート帯で動作する光XOR回路を実現することに成功した。その結果、今後、疑似ランダム系列発生回路を実現し、光計測へ応用展開する上で有用な多くの知見を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光・電子融合型疑似ランダム系列発生回路の実現に必須な光XOR回路に関して、シミュレーションおよび基礎実験による検討を行い、その結果を基に、当初の予定通り、光XOR回路を実現することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに得た知見、課題を基に、バルクあるいは光ファイバ遅延線構成の2値疑似ランダム系列発生回路実現のための実験検討を開始する。遅延線長は数10 cmオーダとなるため、主に光計測用途の数100 Mb/s~数Gb/sオーダの信号発生を目指す。信号周回による雑音蓄積が問題となり得るが、その場合、利得飽和、フィルタ挿入等の手法を用いて解決を試みる。他要因が問題となる場合には、構成の見直しを行う。 また、上記の疑似ランダム系列発生回路を、光ファイバ伝送路評価などに使用可能な時間領域光リフレクトメトリ(OTDR: Optical Time Domain Reflectometry)の信号源として適用する実験を行う。通常のOTDRに対して、受信信号のS/N比を数dB程度向上し、測定距離を数10 km程度拡大することを目指す。目標特性の実現が難しい場合には、測定信号の品質特性(強度揺らぎ、ジッタ、S/N比)の向上のため、回路の動作パラメータの見直しを行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行に必要なRF増幅器の納品が当初の予定より遅れ、平成25年度の物品費の実支出額に含まれていないため。 RF増幅器は納品済のため、平成26年度の早期に実支出額に計上される予定である。平成26年度分として請求した助成金は、当初の予定通りの項目で計画的に使用する予定である。
|