様々な信号速度で動作し、簡便構成、小型、低消費電力の光排他的論理和回路とその応用である光疑似ランダム系列発生回路は、光計測、光通信の両方にとって重要である。光・電子融合技術を駆使してその実現に向けての検討を進めてきた。 平成25年度に実現した「バランス受光器+強度変調器」構成の光排他的論理和回路をベースとし、平成26年度は、(1)数100 Mb/sの光疑似ランダム系列発生回路を実現することを目標とした。また、(2)上記発生回路を光伝送路の評価等に用いられる時間領域光リフレクトメトリ用の相関処理信号源として適用することによって、測定信号のS/N比を向上し、測定レンジを数10 km程度拡大することを目指した。 実験を中心とした検討の結果、現在に至るまで、(1)のランダム系列発生回路を実現できていない状況にある。これは、信号周回による雑音の蓄積効果が予想以上に大きく、増幅部の利得飽和、フィルタ挿入によっても解決されていないためである。(1)のランダム系列発生回路は、反射型光計測技術用の簡便・低コスト化光源として有用であるため、平成27年度以降も、適宜所属機関等の研究費を活用して検討を継続する予定である。 しかしながら、数10 Gb/sオーダ対応の光排他的論理和回路を、光通信における2値強度変調(On-off keying: OOK)信号から4値振幅多値変調(4-level pulse amplitude modulation: PAM4)信号へのフォーマット変換回路に応用できることを新たに見出し、2 x 20 Gb/s OOK信号から40 Gb/s PAM4信号へのフォーマット変換回路を実現した。 上記フォーマット変換回路と、光排他的論理和回路の40 Gb/s動作との2編に関して、英文論文誌に投稿中であるが、採否未定である。
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