研究実績の概要 |
wetな実験と並行して,不応期と神経素子特性の”ゆらぎ”を入れたアナログ的シミュレーションを行なった.結果としてスパイク波と名付けた波動が描出された. 符号スペクトル:スパイク列中の長さ8までの各種符号成分(符号スペクトル)のシミュレーションと対応させることにより,逆問題として不応期や重み分布が推定できた. スパイク列識別・通信:複数特定の受信神経における発火パターンに,単純でより実在可能性の高い時間的側抑制型Laplacian Gaussianフィルタ列による学習識別を適用したところ,いずれも25×25神経回路モデル上で,神経細胞の出力遅延および不応期の揺らぎの大きさによるが,数~数十回の学習後,ほぼ100 %の認識率で,遠隔9種信号源を識別することが出来た.これは、障害物などがあっても空中を音波が伝搬してくれば耳だけで音源の様子(どこで何が起きたか、など)が分かることに相当する.これは従来,暗黙の内に仮定されていた神経情報伝達における局所経路・特定経路思考を否定する重要な発見である. 我々はスパイク列の解析を進めてきた.それが幸いして,神経細胞が(学習・処理などの機能は省き)多くの時間は多重通信におけるスパイク波の受動的伝搬媒体に過ぎないことが分かった.またこの際,神経特性の揺らぎが通信の安定化に寄与していることが分かった. 培養神経における通信:これに対応して,培養神経細胞に対して8×8マルチ電極の特定2か所の一方から電気刺激を行い,各電極の受信スパイク列のInterval値列に違いが出てくるかどうかDTW法で判定を行った.この結果,いくつかの電極で観測されたスパイク列は刺激電極の違いに対して有意な差があった.すなわち,2対1通信が可能であることが分かった.
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