研究課題/領域番号 |
25630181
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研究機関 | 阿南工業高等専門学校 |
研究代表者 |
福田 耕治 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40208955)
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研究分担者 |
杉野 隆三郎 阿南工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10259822)
守岡 佐保 徳島県立農林水産総合技術支援センター(試験研究部), その他部局等, 研究員 (40502240) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 水中遊泳ロボット / 魚行動モデル / 魚群 / 魚群行動シミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では,引き続き水中遊泳ロボットの開発をすすめた。特に駆動部については,駆動音の低減を考慮したアクチュエータの利用を検討し試作してきた。しかしながら,駆動力を十分得るためにはアクチュエータを複数個用いなければならないため駆動部のサイズが大きくなり,計画に沿った小型の水中遊泳ロボットが実現できない状況となった。そこで,駆動音の低減はひとまず見送り,ギアの減速によって駆動力を得る一般的なモータ駆動機構を用いることにした。この駆動機構は既に構成しており,マイクロプロセッサによる動作も確認している。 このロボットは,後半部分は駆動機構,前半部分はバッテリー,コントローラ,障害物センサ6個,姿勢センサを搭載するユニットとなっている。このロボットの基本的な機能は確認したが,ロボット全体の気密性を確保する必要があり,現在3Dプリンタを用いて気密性のあるボディの試作と修正をしている段階である。 以上のように計画に対しロボットの開発が遅れているため,研究全体の進展も遅れているのが現状である。 一方,マアジによる魚行動実験については,閉領域の異方性を解消するために長方形水槽ではなく円形水槽を用いて実施した。また,シミュレーションについても円形水槽に対応したプログラムを作成・実行し,発生する行動を評価することができた。しかし,魚行動のモデルを改善するための知見が得られておらず,評価からモデルの修正をするループが形成できていないのが現状である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究課題の中心は,マアジとほぼ同サイズの小型水中遊泳ロボットを開発し,マアジの魚群に投入することで,マアジとロボットとのインタラクションを観測・解析する点にある。しかしながら,初年度にシミュレーションや実際のマアジの魚群中の行動観測・解析を中心とする活動をしたこともあり,ロボットの開発が遅れ,現時点でも完全に動作するには至っていない。したがって,研究は遅れていると言わざるを得ない。 遅れの基本的な原因は,ロボットの駆動音を低減するため駆動音の小さいアクチュエータの利用を検討し試作まで行ったが,それらが駆動力やサイズの点で十分ではなかったため,結局これまでに2回アクチュエータを変更した点にあるといえる。現時点で採用しているアクチュエータは,駆動音は発生するもののサイズ・駆動力の点でこれまでのものよりも有利である。また,研究の目的から考えても,まずはマアジと同程度のサイズのロボットを開発することは適切と考えているが,このサイズの制約もロボットの開発が遅れている原因の一つである。本ロボットは,形状もある程度マアジに近いものを設計・試作しているが,細長いボディに対応させて回路基板の形状やセンサを含めた各部品の配置に苦慮した。これらの問題は,現時点でかなり解消しているが,ボディの気密性を確保するためにロボットのボディ形状の精度が問題になっている。すなわち,ロボットのボディを造形する3Dプリンタの造形精度が高くないために,気密性を確保できない状況にある。この問題については早急に解決する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
水中遊泳ロボットのボディは気密性が重要であるが,現在使用している3Dプリンタでは形状精度が高くない,さらに厚みの薄い部分では隙間が発生してしまうため気密性を確保することが困難である。そこで,これらを満足する3Dプリンタを早急に購入し,形状の調整と試作を短期間のうちに繰り返し,最終的な形状を決定する必要がある。 一方,研究協力機関である徳島県立農林水産総合技術支援センター水産課の美波庁舎が改修されることになり,平成27年度は鳴門庁舎で実験することになったのであるが,施設までの距離が長くなり移動に2倍以上の時間を要することになった。このため,遊泳実験を頻度を高くして実施するために,円形水槽を購入し設置する予定である。 以上のように,計画当初とは実験施設が異なり,実験頻度を高くすることは難しい状況であるが,実験施設を本校内に準備するよう努力し,これに対応したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ロボット開発が遅れたため,ボディを造形するための3Dプリンタの購入を次年度に持ち越した。3Dプリンタは大きな発展を遂げる途上にあり,性能向上と低価格化が進展しているところである。本研究計画時点では購入を検討することができなかったが,現時点では比較的精度の高い日本製の製品が市販されたことにより,魚のボディのような曲面を有するフレームを調整しながら試作を繰り返す必要がある本研究のロボット開発に利用可能と判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
主に3Dプリンタの購入にあてる。研究の進展状況より,ロボットボディの試作はある程度まで進んでいる。そこで,早急に3Dプリンタを購入し利用する予定である。また,この際,造形用の樹脂も別に購入する。
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