本研究では、公共事業実施機関として、国、都道府県および市町村を対象に、技術公務員の役割の変遷を聞き取り調査によって抽出し、その結果に基づき、調達に要する市場取引コストと組織内部で発生する取引コストを技術公務員が提供するサービスとともに把握した。比較的早期から設計施工の段階にはアウトソーシングが導入され、調査計画段階、さらに維持管理段階に民間企業によるサービスが導入されている。公共事業の実施プロセスにおける、公共発注機関と建設産業の間の取引コストとサービスの関係は、技術公務員が専門職として保有する技術力が低下するに伴い取引コストが増大し、契約の運用の中でバランスが図られてきたものと推察される
|