研究課題/領域番号 |
25630187
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
佐藤 良一 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任教授 (20016702)
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研究分担者 |
小川 由布子 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30624564)
河合 研至 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90224716)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 内部養生 / 廃瓦骨材 / 高炉セメントB種 / マスコンクリート / 構造性能 |
研究概要 |
本研究は、水和熱による温度上昇下で自己収縮が増大する高炉セメントB種を用いたマスコンクリートに産業廃棄物である廃瓦から製造した骨材を内部養生材として活用し、自己収縮低減およびRCはりの構造性能向上を図ることを目的とした。平成25年度の研究実績の概要は以下のようである。 (1) セメント:高炉セメントB種、コンクリートのW/C=0.5、0.4、廃瓦粗骨材(PCCA)の容積置換率:10%~40%、廃瓦細骨材(PCFA) 置換率:12%~14%、養生条件:封緘、材齢7日まで封緘その後乾燥暴露、養生温度:マスコンクリートを想定した高温履歴、20℃を要因としコンクリートの特性に及ぼす内部養生効果を検討した。その結果、①圧縮強度およびヤング係数に及ぼす内部養生効果は、封緘の場合には高温履歴下ではほとんど認められないが、割裂引張強度は高温履歴で増大する傾向が認められた。②常温における強度に対する内部養生効果は封緘ー乾燥が封緘より大きく、また破壊エネルギーは封緘ー乾燥、封緘のいずれの養生条件でも置換率10%が最も大きい、③自己収縮および収縮による鉄筋拘束応力に対する内部養生効果は高温履歴が大きいことが明らかになった。 (2)RCはりの最大曲げひび割れ幅はW/C=0.5の場合、粗骨材置換10%、細骨材置換12%で、またw/C=0.35 では骨材置換20%、30%置換ともに内部養生により有意にに小さくなった。 (3)RCはりのせん断耐力はW/C=0.5の場合、粗骨材置換10%、細骨材置換12%で増大したが、粗骨材20%置換では若干低下した。 (4)マスコンクリートを想定した温度履歴下の自己収縮を正確に測定するために、打込み直後からのコンクリートと同等の骨材量を有するモルタル供試体の長さ変化を測定し、熱膨張係数の経時変化を求める装置を開発した。これにより得られた熱膨張係数を用いて高精度の自己収縮ひずみを求めうることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マスコンクリートを想定した温度履歴下の高炉セメントB種コンクリートの諸特性に及ぼす内部養生効果(PCFA置換率15%)は、特に自己収縮、鉄筋拘束応力に対しては顕著であることを明らかにした。常温における検討では、強度は置換率の増加とともに増大すること、破壊エネルギーではPCCA10%置換率が最適であること、RCはりの曲げひび割れ幅は内部養生により小さくなること、RCはりのせん断耐力は廃瓦置換率が10%程度で有意の増大することなどを明らかにした。 さらに、新たに開発した熱膨張係数の経時変化を求める装置より得られた熱膨張係数を用いて高精度の自己収縮ひずみを求めうることを確認した。 以上から「おおむね順調」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
W/C、廃瓦粗骨材(PCCA)置換率、廃瓦細骨材(PCFA)置換率、温度履歴の有無を要因として、無筋コンクリートの強度、破壊力学的パラメータ、自己収縮、収縮による鉄筋拘束応力、RCはりのひび割れ抵抗性、ひび割れ特性、せん断強度について実験的に検討する。 併せて、これらのコンクリートの打込み後からの熱膨張係数の経時変化を求め、自己収縮の高精度予測を行う。鉄筋とコンクリートとの熱膨張係数差、高精度に求めたコンクリートの自己収縮を用いて、実測鉄筋ひずみから両者の影響度の分離とともに、拘束応力に及ぼす高温履歴の影響と内部養生効果を明らかにする。 RCはりの構造性能についても高温履歴の影響を明らかにするとともに、内部養生効果、PCCAとPCFAの適用性、それらの最適置換率を検討する。
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