研究課題/領域番号 |
25630198
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
秋山 充良 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00302191)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | X線 / ディジタル画像 / 鉄筋腐食 / 維持管理 / 鉄筋コンクリート / 腐食ひび割れ |
研究概要 |
X線技術により,RC部材内の鉄筋腐食状態を可視化できれば,鉄筋腐食の成長過程を連続的に撮影することが可能となり,鉄筋腐食の空間分布をモデル化するための情報,さらには,鉄筋腐食とコンクリート表面に表れる腐食ひび割れ幅・密度の関係等について,有用な情報を得ることができると期待される.ただし,健全時から,例えば,10%程度の断面欠損が生じたコンクリート内の鉄筋の状態をX線により定量的に評価可能であるのかは明らかでなく,このような研究目的の達成にX線技術が適用できるのかをまず確認する必要がある.本研究は,この背景のもと,X線によりコンクリート内の鉄筋腐食の状態を撮影し,鉄筋の非腐食域の境界を捉えるためのディジタル画像処理方法などを検討した。具体的には,予め電食にて腐食させた,腐食量と腐食の分布が既知の鉄筋をコンクリート中に埋め込み,その状態をX線撮影し,ディジタル画像処理方法の違いがX線撮影画像(以下,単にX線画像)から予測される鉄筋腐食量の精度に及ぼす影響などを検証した.次いで,電食にて劣化させたRCはり部材のX線撮影を行い,鉄筋質量減少率の不均一さの程度や形成過程を観察した.また,鉄筋質量減少率とコンクリート表面に表れる腐食ひび割れ幅の関係,さらには,部材内部の鉄筋質量減少率の空間的な変動と曲げ耐力の関係などに関する基礎資料を得た. なお,本研究は,将来的に,X線技術を用いて鉄筋腐食の成長過程を連続的に観察することが可能であるのかを見極めるために実施している.そのため,電食により生じる鉄筋の断面減少や腐食生成物の実環境で生じるものとの違い,あるいは,腐食ひび割れ幅に及ぼすせん断補強鉄筋の影響などは検討できていない.これらは,今後の重要な検討課題である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の主な目標は,「X線写真とディジタル画像処理技術により,コンクリート・腐食生成物・鉄筋(未腐食)を区分し,それらの空間的な分布を3次元画像として可視化するためのプログラムを構築する.X線画像上で腐食生成物を同定することがチャレンジであり,エッジ検出法を中心に画像処理パラメータを実験結果に整合するように調整する作業を繰り返す.また,3次元画像を得るため,早稲田大学が所有するX線撮影装置について,供試体を360度方向から撮影できるように改良する.」である.ディジタル画像処理,装置の改良,および基礎実験の実施と,全ての項目について,ほぼ計画通りに実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
構築したX線写真とディジタル画像処理技術を電食を受けるRC梁に適用し,鉄筋腐食成長過程を可視化する.そして,観察に基づき,鉄筋腐食や腐食生成物の部材内の変動を表現する空間分布モデルを構築したり,RC梁の曲げやせん断実験を行い,各耐力に及ぼす鉄筋腐食分布の影響について考察したりする. 当初の研究計画通りの内容を平成26年度に実施する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
実験消耗品の購入の際,当初予定したものよりも若干ながらも安価なものを購入することができた.そのため,14714円の残金を次年度に繰り越すことになった. 平成26年度は,多くの実験供試体を用いてX線撮影する予定である.供試体製作の際の消耗品(鉄筋やセメント)購入費の一部に平成25年度の残金(14714円)を使用する.
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