研究実績の概要 |
無菌処理した締固め木片混じり土供試体の上部に木材腐朽菌を接種して,腐朽促進下で放置し,2,5,10,11,13ヶ月後の供試体表面の腐朽菌進行を観察し,供試体の一軸圧縮強さ(強度)を計測した.その結果,一軸圧縮強さは13か月経過してもほとんど変化はなく,また腐朽2ヶ月よりも腐朽13ヶ月の方が菌糸の広がりが十分見られたが,供試体内部に菌糸侵入は確認できなかった.木片混じり土を滅菌し,十分に締固めることにより,菌糸は内部へ進行せず,そのため一軸圧縮強さも変化しないことがわかった. つぎに木片に腐朽菌を接種し,1ヶ月培養し木片の腐朽を促進した後,災害廃棄物土砂中に木片を混入し,締固め供試体を作製し,恒温恒湿内に設置された腐葉土充填箱に埋めて,1, 3, 4ヶ月後の一軸圧縮強さを計測した.密詰め供試体は,腐朽期間によって各供試体の一軸圧縮強さの変化はあるものの,40~75kPaの範囲内であった.緩詰め供試体も同様の傾向で,一軸圧縮強さは15~45kPaの範囲内となった.本研究で実施した試験期間内では,密詰め供試体および緩詰め供試体の一軸圧縮強さについて腐朽による大きな変化はみられないことがわかった. 木片混じり土は,密詰めであっても一軸圧縮強さが40~75kPaであることから,復興資材としての強度は高いとは言えない.H25年度の研究において,災害廃棄物の復興資材である「コンクリートがら」を利用する際,排出される粉末(コンクリートダスト)を木片混じり土に20%混入することで,強さは1.5倍程度に増加した.今回,その成果を活用し,コンクリートダスト混入の木片混じり土の力学試験結果に対して,弾塑性構成モデルSYS Cam-clay modelにより再現計算を実施し,ある程度の再現性が得られた.今後は,コンクリートダストの混入率や腐朽促進過程での強度の変化を調べ,再現計算を行ってゆく.
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