研究課題/領域番号 |
25630208
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
入江 政安 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00379116)
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研究分担者 |
小西 祥文 上智大学, 国際教養学部, 准教授 (40597655)
西田 修三 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40172663)
中谷 祐介 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20635164)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 流動水質モデル / 経済モデル / 沿岸域 / 大阪湾 |
研究実績の概要 |
昨年度の検討結果から,対象となる干潟の除去能力により,その保全あるいは創造の経済効果が大幅に異なることが推察された.そこで,二枚貝の成長を考慮した干潟モデルを導入し,干潟における窒素,リン,CODの除去能力を外部からの入力値としてではなく,モデル内で算定するようにした.また,懸案であった底質モデルの組み込みを行い,陸域負荷の変化が伴うシナリオを評価する際にも,負荷の変化が底質に及ぼす影響を考慮することができるようになった.溶出量の予測については,水質・底質調査を合わせて実施し,対象海域の底質の特性を把握している.これらの改良により,長期変動予測において,前年度に比べて,良い再現性が得られるようになった. 一方で,陸域モデルの領域細分化については,種々の検討を行ったものの,現状以上の細分化にはさらに多くの仮定が必要であり,精度の確保が難しいことが分かり,現状モデルの精度検証にとどめた. 以上のように,海域側における流動-水質-底質-干潟の連動モデルおよび陸域側における応用一般均衡モデルが連動して計算を実行することのできる統合システムを,大阪湾とその流域圏(後背陸域)を対象として,構築し完成させた.最終年度においては,特に1955年頃にはすでに消失していた干潟が保全された場合の経済価値を検討した.大阪湾においては1980年のリン排出規制に始まり,CODおよび窒素を含めた総量規制が実施されており,海域において干潟(を含む浅場)を保全し,それらの物質の除去能力が保全されていた場合,環境規制は幾分緩和されることから,規制緩和により生じる経済効果をもって干潟保全の経済価値として算定した. 今後は,環境水理学や海洋生物学による生態モデルに関する最新の知見を組み込むことにより,環境施策の精度の良い評価が可能になると考えられ,モデルそのものの改良と合わせて,実施していきたいと考えている.
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