研究課題
本研究では、900種余の病原性細菌(生菌)を一度に定量解析する新規解析手法を開発し、同手法を活用して水環境中の病原性細菌汚染の実態を解明することを目標として、①DNAインターカレーター処理を用いた水中の生菌DNA選択検出法の開発、②DNAマイクロアレイを用いた900種余の病原性細菌の一斉定量解析法の開発、③国内外の水環境中における病原性細菌汚染のデータ基盤の整備の3つの課題達成を目指した。最終年度である平成27年度は、課題③について、これまでに確立・最適化した解析手法を用いて、国内外の水試料における病原性細菌汚染の調査を実施した。国内の調査では、平成26年度に実施した相模川水系におけるモニタリングを継続して、合計72試料の河川水試料における病原性細菌分布を解析した。また、海外の調査では、ネパール連邦民主共和国のカトマンズ盆地を調査地域に選定し、飲用ボトル水10試料、地下水13試料、公共水場水1試料、河川水2試料、湧水2試料の合計28試料における病原性細菌分布の解析を実施した。相模川及びカトマンズ盆地における調査結果から、各地域の水試料において頻繁に検出される病原性細菌種をリストアップし、バイオセーフティレベル3の病原性細菌の出現状況を明らかにするとともに、両地域における病原性細菌の出現状況の相違等を検討した。さらに、大腸菌・大腸菌群等の微生物指標や理化学指標と病原性細菌の出現との関連性についても検討し、地域によらず、従来の一般的な水質指標によって病原性細菌の出現を評価することが困難である可能性を見出した。
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