まず、DME抽出法を採用して、湖水も含む水分大過剰のアオコから油脂を直接抽出する。様々な微細藻類を内容積10cm3の耐圧硝子管に5cm3充填して抽出カラムとして用いる。生じた残渣の元素比率(C・H・O・N)を分析して明らかにする。抽出カラムに、液化DMEを20℃・0.51MPaで10cm3/minの速度で供給し、抽出カラムの内部にて微細藻類から油脂を抽出した。抽出に用いた液化DMEを大気圧に減圧すると、DMEが蒸発して、液体の水と油脂が得られる。抽出カラムには、油脂が抽出除去された残渣が残り、DMEで油脂を抽出した後の微細藻類の残渣を、微細藻類の培養工程でアミノ酸やタンパク質などの窒素化合物として再利用するため、抽出残渣を亜臨界水で処理した。残渣0.3 gと水5 mlを、内径1cm、容量10mlのバッチ式反応器に挿入し、高温高圧状態で30分間振盪撹拌を行った。撹拌中、内部の水は臨界点に近づき亜臨界状態になる。温度条件は150 ℃、175 ℃、200 ℃、225 ℃にて亜臨界水処理を行った。 実験終了後、反応器が常温程度に冷えた後に、内容物を回収し、遠心分離機を用いて、回転数900 rpmにて20分ほど遠心分離を行った。 200℃の亜臨界水反応で得られた上澄み液100 gあたりから検出されたアミノ酸は、必須アミノ酸が347.5mg、その他のアミノ酸が575.0 mg、合計で922.5 mgのアミノ酸が含有していた。このアミノ酸水溶液は約0.92%の濃度であり、抽出残渣0.31 gから分解された総タンパク質量は、加水分解後のアミノ酸換算で45.3mgとなり、抽出残渣1gにつき0.146 gとなった。200℃にて抽出残渣の亜臨界水処理を行った際、亜臨界水処理前後で抽出残渣1 gにつき、0.68 g減少した。抽出残渣重量の減少分の21.5%がタンパク質へ分解された。
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