研究課題/領域番号 |
25630244
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
増田 聡 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (30231591)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 地域建設業 / 東日本大震災 / 震災復興 / 建設投資 / 技能労働者 / コミュニティ・ビジネス |
研究概要 |
長年続いた建設投資の減少により震災前までは厳しい業況に直面し、震災後は一転して好況感の最も高い業種となった建設業について、復興過程における動向・役割ならびに今後の地域産業としてのあり方を検討した。特に、東日本大震災は津波被災地を中心に壊滅的な被害をもたらしたが、膨大な復旧・復興事業への一時的対応にとどまらず、業界としては資本蓄積及び将来的な技能高度化、構造改革の契機として、地域においては地域ニースに応える社会的企業化の面から、「住民支援型コミュニティ・ビジネス」への転換という視点を重視した。 以上の問題意識から、既存の公表データの収集分析をまず行い、建設投資や建設雇用の経年変化等を再確認し、地域建設業の課題を整理した。加えて、個別建設事業者についての経営審査データ(個別企業データ)を購入し、統計的分析に着手した。 次に、東北大経済学研究科で行っている震災復興企業実態パネル調査(2012,13年実施)のデータセットから建設業分を抽出し、その構造分析を通じて東日本大震災の影響を把握した。 最後に、専門家との勉強会及び諸アクターへのヒヤリング調査を行い、それぞれの立場からの震災復興及び地域建設業に関する情報収集を行った。聞き取りの対象は、以下の3セクターに対して実施した。1)行政(許認可権限、事業発注者):東北地方整備局(建政部、道路部)、相馬市(建設部)、2)業界団体:各県建設業協会(宮城、福島、岩手)、みやぎ建設総合センター、岩手県建設業ありかた研究会、3)企業等:スーパーゼネコン、中堅ゼネコン他、都市再生機構、東北大インフラマネジメント研究センター、建設経済研究所 これらの萌芽的研究から、今後この分野で精査すべき課題を特定することが出来たとともに、主要な内容をとりまとめて論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
挑戦的萌芽研究としては、基礎的知見の整理を経て、今後の震災復興事業が進展する過程で着目しておくべき研究課題を明らかにすることが出来たとともに、この分野で精査すべき課題を特定することが出来た。 研究成果を米国地理学会で報告するため2014年度への繰り越し継続を申請したが、研究目的・研究計画に示した内容については、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
まず地域データの分析については、今後とも震災復興の進捗とともに継続実施していく予定である。特に、経営審査データについては、数年後に再度入手し、経年比較分析を企画している。また、東北大経済学研究科で行っている震災復興企業実態パネル調査の建設業の構造分析も継続する。 次に、勉強会(ワークショップ)・ヒヤリング調査についても、みやぎ建設総合センター等と協働しながら継続していく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究成果を海外で報告するため、その旅費分等を繰り越したものである。 海外出張旅費等に充当
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