本研究では、(1)都市の危険性の変遷過程を分析・視覚化するとともに、(2)国内外の土着的な集落および都市空間を「災害対応」という新たな枠組みで再整理したうえで、今後の災害環境に対応するよう都市・建築空間デザインコードを用いて体系化し、(3)インターネットのデジタルアース空間を通じて、その事例を世界中に配信することを目的としている。 平成27年度は、各種参考資料により主に東京都八丈島、鹿児島県沖永良部島、鹿児島県姶良市蒲生地区、大阪府枚方市、奈良県郡山市、新潟県佐渡島、新潟県長岡市与板町、新潟県上越市高田、三重県桑名市長島町、鳥取県倉吉市、島根県斐川町、高知県四万十町興津、高知県宿毛市沖の島、茨城県つくば市北条地区における伝統的集落、町並、都市空間、建築空間、その他災害復興と防災に関する空間について調査を行い、情報収集を行った。次にこれまでに得られた空間事例とあわせ、それらの情報を位置情報、名称、定義、目的、対象とする災害、成立年代、空間規模などに分類・整理し、データベースを構築すると共にその情報をホームページにより公開した。 その後、それぞれの空間が実質的な災害管理手法として利用できるよう、Disaster Life Cycleの各フェイズ(被害抑止Mitigation、被害軽減のための事前準備Preparedness、緊急対応Response、復旧・復興Recovery)に対応させ、分類整理した。 また、住宅・土地統計データを用いた東京23区における建物倒壊リスクの変遷過程を明らかにした。 最終年度にあたる今年度はこれらの研究成果を論文かつ国際および国内学会において広く発表した。
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