フランス18世紀の地方長官ド・トゥルニが、派遣されたボルドー市でおこなった都市整備事業を対象に、現地アーカイブ、西洋史、社会経済史などの先行研究を参考にしつつ、都市史・建築史的な視点から分析した。とくに空間史、様式史、作家史という従来的視点をこえて、ひとつの建設事業・都市整備事業が、経済、雇用、地域社会をにらんだ都市運営的などのような戦略に基づいているかという視点から、総合的に分析した。 その結果、この都市開発は、経済的には大西洋貿易で得た富の再投資であり、不動産産業を活性化させたこと、商人の貴族化、大商人化、名士化という社会的上昇のモチベーションを与えたこと、などを明らかにした。
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