研究課題/領域番号 |
25630259
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
大場 修 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (20137128)
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研究分担者 |
原戸 喜代里 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (30640429) [辞退]
玉田 浩之 大手前大学, メディア・芸術学部, 准教授 (70469112)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 占領軍家族用住宅 / 住宅接収 / 對龍山荘 / 修繕明細書 / 占領期 / 京都 / 接収住宅 |
研究実績の概要 |
京都市内における住宅の接収は、敷地全体が占領軍家族用住宅として接収される「完全接収」、主屋を占領軍家族用住宅として接収するが、その一部を非接収とし、そこに日本人所有者が居住する「部分接収(同居型)」、主屋が占領軍家族用住宅として接収され、日本人所有者は離れ等の付属屋に居住する「部分接収(別居型)」の三つに分類された。「部分接収(同居型)」の形態をとるものが最も多かったが、同一家屋内で、占領軍家族と日本人所有者が居住するために、様々な改造工事が行われた。 本年度は、京都における接収形態として最も多くを占めた1「部分接収(同居型)」の事例を取り上げ、同一家屋において、どのように占領軍家族と日本人所有者が居住していたのか、その状況を検討した。具体的には南禅寺周辺位置する市田邸(對龍山荘)の事例を取り上げた。市田邸の修繕明細書には、「畳と堅木の床の入れ替え」「DDT の散布」「便所、風呂、台所の洋式化」「温水、加熱設備、ボイラー室の設置」「上下水道設備、電気設備 の改修」等、占領軍が接収住宅に要求する工事項目が記載されている。この修繕明細書をもとにして、接収された住宅は個々に応じた改造工事が行われたことがわかった。 占領軍家族と日本人家族が同居する場合、強固な間仕切りの壁が設けられ、夫々の家族の動線が交わらないように配慮された。日本家屋に占領軍家族が居住するために実施された改造工事は、間取りが変更されるような大きな改造はなされなかったものの、個人のプライベートが重視される寝室は、間仕切りを壁にし、片開きの扉が設置された。對龍山荘の中でも重要な存在である「對龍台」と「聚遠亭」は、接収されていた時期もリビングルームとして使用された。對龍山荘では和風住宅の意匠を大きく変えることはなかったが、占領軍住宅としての機能的側面を充足させべく改造が行われたことを明らかにした。
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