研究課題/領域番号 |
25630265
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中谷 亮一 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60314374)
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研究分担者 |
白土 優 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70379121)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スピントロニクス / 磁性 / 薄膜 / 交換磁気異方性 / Cr3Al |
研究概要 |
本研究では、次世代磁気トンネル接合膜であるMgO(001)ベースの磁気トンネル接合膜に対応できる、bcc(001)配向した膜面垂直交換磁気異方性型薄膜の開発として、特に、X相を有するCr3Al(001)反強磁性薄膜の開発を行う。平成25年度は、CrとAlの組成比を約3:1に固定し、Cr3Al薄膜の成長温度を変化させることで、成長温度300℃でX相が形成されること、成長温度が600℃となるとC11b構造が形成されることを明らかにした。また、成長温度が300℃の場合には、X相Cr3Alに特有の半導体的な電気抵抗の温度依存性を示すことも見出した。さらに、現時点では120 K以下の低温領域であるが、Au/Co/X相Cr3Al薄膜において膜面垂直方向の交換磁気異方性が発現することを明らかにした。これらの成果は、2014年春の日本金属学会において報告済みである。また、現在、X相Cr3Al薄膜の構造に関して、放射光を用いた詳細な解析を進めており、本解析が完了次第、論文投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定の通り、X相Cr3Al(001)薄膜の作製に成功しており、また、低温ではあるが、膜面垂直方向の交換磁気異方性の発現に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、強磁性層としてCoを用いたが、これは、使用している製膜装置ではキャップ層としてMgOを用いることが出来なかったことが主な原因である。平成26年度は、平成25年度使用設備においてもMgO薄膜の製膜が可能となるように装置改良を行い、これによって、実デバイスへの適用が期待されているMgO/CoFe系での膜面垂直交換磁気異方性の発現について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定では、Cr3Al(001)薄膜の作製に1年を予定していたが、当初予定を前倒して作製することが可能になり、その結果、次のステップへの進行を前倒して進めるために、別途記載の通りMgO(001)薄膜を作製するための装置改良を進めた。その結果、機種選定に時間を要したことが主な理由である。 また、当初予定していた国際会議出張を、別の国内学会に切り替えたため、旅費が低下することとなった。国際会議発表に関しては、平成26年度の発表を予定している。 平成25年度に発表予定であった国際会議発表を平成26年11月開催の国際会議に振り替えて発表する。本成果の論文発表を先行させることを優先したためである。 また、別途理由記載した装置改良については、平成26年度予算と合算して、早急に進め、平成26年5月を目途に改良を完成させる。
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