結晶性金属材料の塑性変形は転位の運動により担われるが、その後期過程で現れる転位組織の形成機構は未だ不明である。本研究では格子欠陥のゲージ理論とモンテカルロ法を併用することでこの形成過程を解析した。その結果、らせん転位組織には異方的なパターン形成が認められ、転位群は特定の安定配置を取る傾向が確認された。これに対して、同一条件下で古典転位論に基づいたシミュレーションでは多くの転位は対消滅し、特定のパターンが形成されることはなかった。この結果は、転位芯におけるミクロな応力場が、転位群によるパターン形成というマクロな転位組織にまで、マルチスケールに影響を与えることを意味している。
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