研究課題/領域番号 |
25630270
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西井 準治 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (60357697)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 機能性ガラス / プロトン / プロトン伝導 / イオン置換 / 水素 / コロナ放電 |
研究概要 |
中温域(200℃~500℃)プロトン伝導体は、クリーンエネルギー源として期待される燃料電池の必須部材であるにも関わらず、十分な性能の材料が見出されていない。本研究では、集塵・除電などに使われている「大気圧コロナ放電」を用いて、堅牢な酸化物骨格の酸性度の高いサイトへの伝導性プロトンの導入を目的としている。 今年度は、ナトリウム-ニオブ-タングステン-リン酸塩ガラスを作製し、400℃、5%水素95%窒素雰囲気にてコロナ放電の印加電圧とサンプル中を流れる電流値との相関を調べた。3 kVの電圧を印加すると約15μAの電流が流れ、2 時間後には約25μAまで上昇し、その後、30時間一定であった。得られたサンプルの断面を観察したところ、厚み0.5mmの内のアノード側から約1/2の深さまで変色し、改質されていた。改質領域の組成分析をEDSで行ったところ、50%のアルカリが欠乏し、また、IR測定では、OH基の大幅な上昇が確認された。 以上の結果より、水素含有雰囲気中でのコロナ放電処理は、リン酸塩ガラスにおいても有効であり、多量のプロトン導入が可能であることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は5%水素95%窒素雰囲気中でのリン酸塩ガラス専用のコロナ放電処理装置を立ち上げた。ステンレス真空チャンバー内に、高電圧印加可能な針電極とガラス加熱用のカートリッジ-ヒーターを設置し、安定したコロナ放電処理ができるようにした。この装置を用いて、まずはアルカリ含有アルミノシリケートガラスの処理を行ったところ、空気中よりも高速にアルカリ欠乏層が形成でき、0.5mm厚のサンプルの1/2までプロトンが侵入し、その濃度は1立方センチメートルあたり10の22乗個にも及んだ。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度より、100%水素雰囲気中でのコロナ放電処理を開始する。また、アルカリプロトン置換効率の高いガラス組成の探索に注力し、コロナ放電特性と置換率との相関を定量的に調べる。さらに、プロトン伝導度の測定を試みる。
|
次年度の研究費の使用計画 |
コロナ放電処理装置をさらに改良する 未使用額については、実験計画の見直しにより次年度実施する予定であった材料探索のための原料や溶融用るつぼ等の消耗品の購入に充てることとした。
|