研究課題/領域番号 |
25630280
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武藤 俊介 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (20209985)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 触媒 / 電子顕微鏡 / 可視化 / 金属クラスター |
研究概要 |
次世代リーンバーンエンジンにおける排気ガス中のNOx浄化を睨んだセラミックス担持金属微粒子触媒の基礎研究を続けている.本年度は,合金化によって貴金属の使用量を減らし,かつこれまでにない有害物質転換の温度特性を発現するAu-Ni合金クラスター触媒の合金効果についてナノレベルで調べた.特に反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡を用い,反応ガス中で合金クラスターの形態・組成変化,及び電子状態変化を追った.その結果,Ni-Au間の電子移送によって高温でNi酸化物が金属に還元されることで酸化被毒による触媒反応停止を抑制していることが明らかになった. 更にガス反応下で反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡のエネルギーフィルターを用いて微粒子表面の吸着ガスの可視化を試みた.実際に金属表面にコントラストが観察され,可視化に成功した可能性が高い.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでX線及び赤外吸収分光によるマクロな測定結果から,触媒活性が発現する温度領域でNiが還元されていくことがわかっていたが,今回の反応科学超高圧走査透過電子顕微鏡を使ったミクロ観察によって触媒表面でNiが酸化されて表面被膜を作ること,触媒機能発現する高温でこの酸化膜が還元されて金属Niへと変わることが明らかになった.更にエネルギーフィルターを用いて実際のガス反応下で金属表面の吸着ガスを可視化することに成功した.現時点でこの結果を慎重に検討する必要が残されているが,もしこの真にガス吸着可視化が確認されれば本研究分野において飛躍的な成果となると期待される.
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今後の研究の推進方策 |
今回のガス可視化は,学会において大きな驚きとして迎えられることが予想され,その審議について今後様々な条件でこの結果の検証を行う必要がある.またさらにこの吸着ガスの幾何学的な配置を探ることによって,微粒子の特定の結晶学的面,相界面,もしくは微粒子/担体界面などどこが実際に反応活性点となっているかを明らかにすることを目指す.そのために微粒子の観察が容易なモデル触媒の作製が重要となる.
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