研究課題
挑戦的萌芽研究
セラミックスは結晶粒子の高配向化によってその機能が著しく向上する場合がある。研究代表者は結晶粒子がランダム配向した板状の焼結体基板と反応性ガスを用いることで、アパタイト型ゲルマン酸ランタンのc軸が焼結体表面に対して垂直に高配向(ロットゲーリングファクターは0.81)した結晶配向セラミックスの作製に成功した。この結晶配向セラミックスの酸化物イオン伝導度を複素インピーダンス法で決定し、さらに単結晶X線回折法を用いて結晶構造を解明した。c軸配向方向の酸化物イオン伝導度を623 K から1073 Kの範囲で求めたところ、温度の上昇に伴い5.5×10-5 S/cm から2.4×10-2 S/cmへ増加した。アレニウスプロットから、イオン伝導に要する活性化エネルギーを求めたところ1.14 eVであった。当該アパタイト配向多結晶体は過剰な酸化物イオンを格子間に含んでいることを明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
本研究の目的は、反応性ガスと結晶粒子がランダム配向した焼結体基板を1450℃で反応させる簡便な方法で、アパタイト型ゲルマン酸ランタンのc軸が焼結体表面に対して垂直に高配向(ロットゲーリングファクターは0.81)した結晶配向セラミックスの作製方法を確立することである。先の【研究実績の概要】で述べた通り、当初の目標通りに研究が進行している。さらに液相を介した反応拡散に関する新たな知見が得られているため、計画以上に進展していると判断した。
当初の計画通りに本研究を推進する方針である。研究代表者は、これまでの研究過程で反応性ガスと結晶粒子がランダム配向した板状焼結体との反応による結晶配向セラミックスの作製だけでなく、別種の反応性 ガスと結晶粒子がランダム配向した別種の板状焼結体などの多種多様な基板材料を用いて、多結晶体を構成する結晶粒子が一軸方向に高配向した多結晶体を作製する計画である。その過程で反応拡散法が多結晶体の高配向化に極めて有効であり、アパタイト型化合物以外の多結晶体にも応用可能な汎用性に富む技術であることを示したい。さらに、反応拡散法とイオン交換法を併用することで、Li+やNa+、Mg2+、Ca2+が一次元トンネル内を高速で伝導する一軸配向多結晶体の作製に発展させたいと考えている。
今年度の研究で新規化学組成の結晶配向化合物の着想を得るに至り、さらに効率的な研究費に鑑み、次年度の使用が最適であると判断したため、次年度使用額が生じることになった。先の理由で記載したとおり、今年度の研究で新規化学組成の結晶配向化合物の着想を得るに至った。当該助成金は、この新規化学組成の結晶配向化合物の原料試薬の購入予算に充当する計画である。
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Chem. Mater.
巻: 25 ページ: 2154-2162
10.1021/cm400892p
http://crystals.web.nitech.ac.jp