研究課題
本研究の目的は、物質・材料合成用のベルト型高圧発生装置の圧力発生領域を拡大し、新たな機能の発現、制御に向けた新物質・材料の合成環境の更なる拡張に挑むことにある。ベルト型高圧発生装置の圧力発生限界はアンビルとシリンダー部材の破壊により支配される。特にアンビルの破壊は発生圧力の増大に伴い不可避となるが、アンビル直上にテーパー状の増圧板を配置することによりその破壊を回避できる。この指導原理に基づいて、本研究課題申請時に室温下で17GPaまでの圧力発生が、高温度下では700℃,12GPa迄の圧力発生に成功した。本研究課題では圧力発生をシリンダー32mmから内径44mmの大型装置に拡張し、増圧板を用いた圧力発生、高温発生実験を行った。大型装置では、室温下、15GPaまでの圧力発生に成功した。その上で加熱実験を行い、ステショバイト及び、γGe2O3の合成には成功したが、15GPa、1500℃領域でのγSi3N4、AlN高圧相(岩塩型)の合成に至らなかった。大型装置ではより高加重での加圧が可能であるため、油圧/発生圧力の校正関係を15GPaから20GPaまで外挿して室温下での加圧実験に成功した。しかし、約20GPa領域で加熱中にアンビルが破壊した。室温18GPa領域での加熱実験に切り替えたところ、数回の合成実験の後、アンビル部材の遅れ破壊に遭遇した。現状の圧力媒体開発の試行錯誤では、高温度下で応力緩和是正のための最適が未踏であるが、アンビルの創傷を回避した高圧、高温の発生には、引き続き圧力媒体の最適化が鍵である。10-12GPa領域の高温実験において、大型装置を用いることで、高圧相試料の大量合成が可能となった。ステショバイトを0.5g程度合成し、ミュウオン・スピン回転法による評価用試料として供した。岩石を構成する珪酸塩鉱物中の水素の状態を明らかにし、地球内部の水素循環メカニズム解明へ寄与することができた。
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Scientific Reports
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Review of Scientific Instruments
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