研究課題
本研究では、pn接合部での「熱起電力」と「光起電力」を組み合わせた高効率近赤外光発電セルを創製することが目的である。このためには、単層カーボンナノチューブ(single-walled carbon nanotube: SWCNT)の表面を化学修飾することにより、p型SWCNTとn型SWCNTを合成する必要がある。平成26年度はナノチューブの骨格に窒素原子が置換した「骨格置換型SWCNT(N-doped SWCNT)」を合成し、その薄膜の熱電能を調べ、N-doped SWCNTがp型であるか、n型であるかを評価した。N-doped SWCNTの合成は、フッ素化SWCNT(CFx: X=0.5)を窒素ガスで希釈した1%のアンモニアガス中で、400 ℃、30分間反応させて合成した。X線光電子分光測定から、ナノチューブ骨格に窒素原子が置換されており、その窒素原子はグラファイト型よりも、ピリジン型やピロール型で存在することがわかった。スライドガラスの両極に幅5 mmの銀電極を真空蒸着し、その電極を跨ぐようにN-doped SWCNTエタノール分散溶液をスプレー塗布した。塗布したサンプルの片端にペルチェ素子で熱を加えることで、サンプル両端の温度差と起電力を調べた。N-doped SWCNT薄膜のゼーベック係数が-1~-10 μV/Kで負であることがわかり、n型キャリヤを示す物質の合成に成功した。
2: おおむね順調に進展している
困難と考えられていた「N-doped SWCNT」の合成に成功し、また「N-doped SWCNT薄膜」のゼーベック係数が-1~-10 μV/Kと負である「n型キャリヤを示す物質」の合成に成功したことは、本研究において大きな成果であるため。
p型SWCNTとn型SWCNTのpn接合セルを持つ薄膜をスプレー塗布で作製し、電流-電圧特性、光起電力を測定する。セルの特性を見ながら、p型SWCNTとn型SWCNTのそれぞれのドーピング量を変化させて、p型SWCNTとn型SWCNTのpn接合セルの高効率化を目指す。
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