研究課題
リサイクルが困難な炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に,化学分解可能な結合を導入して,使用後は特定の処理条件下で分解して使用された炭素繊維と樹脂の原料であるフェノール類を再生,回収できる新型の炭素繊維複合材料を開発することが本研究の目的である。エポキシ樹脂の最も一般的な原料フェノールである,ビスフェノール-Aとp-クレゾールノボラックに,エポキシ基を有するビニルエーテルをテトラヒドロフラン中,0℃で,6時間反応させ,アセタール結合を含むエポキシ樹脂を合成した。こうして得られたアセタール結合を含むエポキシ樹脂を用いて,通常のエポキシ樹脂硬化方法により硬化反応を熱分析により検討し,最適な硬化反応条件を見出した。さらに,協力機関である福井県工業技術センターCFRP部門の協力を得て,通常のCFRP製造方法によりCFRP板を作製した。一般的にCFRPの製造に使われているジシアンジアミド(DICY)とジクロロフェニルジメチルウレア(DCMU)を硬化剤と硬化促進剤にそれぞれ用い,樹脂を炭素繊維に含浸させプリプレグシート(複合材料製造用の中間素材)を作成し,積層して積層板とし,それを熱硬化させCFRP板を作成するした。得られた分解性アセタール結合を含むCFRP板の力学的性質と熱的性質などの基本物性を測定し,従来のCFRPと同様な性能を有していることを明らかにした。さらに,CFRP板に塩酸を作用させ,アセタール結合の加水分解に基づくCFRP板の分解と,炭素繊維と樹脂原料のフェノール類が再生,回収を実現した。
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Journal of Polymer Science, Part A: Polymer Chemistry Toshikazu Sakaguchi, Kazumasa Kawabe, Keiichi Kondo, Hirohumi Iyo
巻: 53 ページ: 1052-1059
10.1002/pola.27575
Polyfile
巻: 51 ページ: 22-28