研究課題/領域番号 |
25630294
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
青野 宏通 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (00184052)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 放射性セシウム / 除染 / ゼオライト / Na-P1型 / モルデナイト / マグネタイト / 磁性化 / 複合材料 |
研究概要 |
本研究は、放射性セシウム除染を目的として、吸着材料であるゼオライト及び、磁石の原料であるマグネタイトとの複合材料である「磁化ゼオライト」の高性能化に関する研究である。 まず、安価な石炭焼却灰を原料とするNa-P1型人工ゼオライトを基本とする磁化ゼオライトについて、その合成方法の検討及び改善を行ないセシウム吸着能の向上に成功した。一方で、ゼオライトの一種であるモルデナイトについて、Na-P1型よりも優れたセシウム吸着能を有することを確認し、比較的安価な珪藻土、及び純粋な試薬を原料としたモルデナイトの合成を行なった。さらには、マグネタイトとの複合化も成功し、より性能の高い磁化モルデナイトの作製を行なった。この磁化モルデナイトについては、Na-P1型でみられたような、マグネタイトナノ微粒子が粒子内部にまで入り込んだ複合化の確認はできていないが、磁石選別による回収が十分可能であったことより、複合材料としての性能は問題なく有していると考えられる。しかし、Na-P1型よりも合成温度が高いため、大量合成を行なうには至っていない。 これらの磁化ゼオライトについて、福島の土壌を用いた溶出助剤による放射性セシウム脱離実験、及び磁化ゼオライトを用いた除染実験を行なった。しかし、平成25年度の実験では十分な除染結果は得られておらず、今後の研究により理由を明確にする予定である。 また、福島の土壌に多く含まれるバーミキュライトにセシウムを十分吸着させた模擬土壌を作製し、セシウムを脱離するための溶出助剤の条件について、主にシュウ酸とシュウ酸アンモニウムの混合溶液を用いて検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らこれまでにNa-P1型人工ゼオライトについて着目し研究を進めているが、ゼオライトの1種であるモルデナイトの方が放射性セシウム除染には有効であることを見出し、比較的安価な珪藻土を原料とする人工合成条件を明確にした。さらに、マグネタイトとの複合材料化に成功した。これら、モルデナイトを基本とする材料を用いることにより、より除染効率が高まることが期待でき、今後の研究の進展が期待できる。また、バーミキュライトにセシウムを吸着した模擬土壌を用いる簡易実験方法を見出したことにより、今後の土壌除染の研究が容易になった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、特に、合成したモルデナイト及び磁化モルデナイトの合成方法及びセシウム除染能力について研究を進める。土壌からの除染技術における、磁化モルデナイトの混合や溶出助剤などの様々な条件の確立を、福島の土壌及び、バーミキュライトによる模擬土壌を併用しながら進めていく予定である。また、セシウム吸着性能をより定量的に評価するため、海水中からの除染実験についても研究を行う。
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