研究課題
ゼオライトは選択的にセシウムイオンを吸着する機能性を持っており、特に陽イオン交換容量(CEC)の高いものが除染材料として期待されている。さらに、ゼオライトをマグネタイトとの複合材料としたものは、Cs 吸着後磁力選別機による回収が可能となることより土壌中の放射性セシウム除染のための画期的材料となる。本研究では、ゼオライト-マグネタイト複合材料としての合成を試み、その性能や微細構造などを明らかにする。それと並行して、放射性Cs を含む福島の汚染土壌を用いた除染実験を試み、複合材料合成方法の確立と除染実施条件を明確にする。その結果、まず、安価な石炭焼却灰を原料とするNa-P1型人工ゼオライトを基本とする磁化ゼオライトについて、その合成方法の検討および改善を行ないセシウム吸着能の改善を行ないセシウム吸着能の向上に成功した。一方で、ゼオライトの一種であるモルデナイトについて、Na-P1型よりも優れたセシウム選択性を有することを確認し、比較的安価な珪藻土からの合成および、試薬からの合成を行なった。また、マグネタイトとの複合材料化についても合成法を確立し、TEMにより調べたところ、マグネタイトナノ微粒子はモルデナイトの表面に凝集して存在し、Na-P1型でみられたような粒子内の存在は観察できなかったが、水中におけるセシウム吸着および磁場回収により90%以上の除染が可能であることが確認された。合成時にFeイオンの一部がモルデナイトのAlサイトの一部を置換していることから、固相反応によりモルデナイトとマグネタイトの接合が強固となり、磁場回収時に両者が分離しないことが考えられた。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件)
Journal of the Ceramic Society of Japan
巻: 123 ページ: 129-135
doi:10.2109/jcersj2.123.129
環境放射能除染学会誌
巻: Vol.2, No.3 ページ: 165頁-173頁