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2013 年度 実施状況報告書

高電圧微小放電溶接による高輝度フィラメントの作製

研究課題

研究課題/領域番号 25630297
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関独立行政法人物質・材料研究機構

研究代表者

今野 武志  独立行政法人物質・材料研究機構, 先端材料プロセスユニット, 主幹研究員 (50354171)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード高電圧放電 / 微小溶接 / フィラメント / 熱電子放出 / 電子線源 / SEM / タングステン合金
研究概要

本研究は,汎用SEMのための高輝度な電子線源の作製とその評価を目的としている.そのために高融点金属極細線を,高電圧微小放電溶接法で接合して,ヘアピンフィラメントよりも先端半径が小さなフィラメントを形成し,その性能を評価する.
初年度は①素線及び線径の選択,②溶接条件の検討,及び③汎用SEM中で市販のフィラメント画像の比較を実施した.
素線は,融点や仕事関数などを考慮して純W線,3%Re-W合金線,26%Re-W合金線を候補とした.また線径はそれぞれ25, 50, 75μmの3種類を検討した.なお市販のフィラメンの線径は約200μmである.25μmの線材は細いために線自身の剛性がなく,また,線径75μmの線材は溶接ができなかった.このため,線径は50μmが適当であることがわかった.素線の材質に関しては,溶接性と剛性を考慮して3%Re-W合金線を選択した.純W線を接合するとその溶接部は,非常に小さく,さらに,溶接部近傍の素線が痩せる(縮径する)ことが認められた.一方,26%Re-W合金線では良好な接合ができた.しかし,高温での素線の剛性が弱くなり,フィラメントが動くために,きれいな画像を撮影することが困難であった.適切な溶接条件を得るため,金属針の先端形状,金属針と素線先端までの距離および放電時間についても検討した.金属針の先端半径が大きく,さらに,距離が短いと,溶接入熱が小さくなり,素線を溶かすまでに時間を要した.その逆では入熱が非常に大きく,制御性が難しくなった.さらに,放電時間が長くなると,素線の縮径傾向が強くなった.
検討した1条件で溶接すると,溶接後の先端半径は20μm以下となり,ヘアピンフィラメントの1/10以下であることがわかった.SEM中で観察すると,画像のエッジが立ち,明暗や穴の輪郭等がはっきりした画像が得られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

初年度は適切な素線の選択を行い,開き角60度での溶接条件を確立すること,また専門業者に依頼して台座に取り付けて交換用フィラメントを作製するまでを目標としていた.今年度はすでに上記の目標を達成しており,さらに実際に試作したフィラメントで標準試料のSEM画像を撮影した.同じ領域を市販のヘアピンフィラメントで同じ倍率で撮影し,両者の画像を比較して,試作品で撮影するほうが良好な画像を得られることが示された.

今後の研究の推進方策

当初計画に基づき,以下の内容ついて検討する.(1)試作フィラメントの特性(輝度,寿命等)について検討する,(2)試作フィラメントに適したウェーネルト径を見出す,(3)試作フィラメントとヘアピンフィラメントによる画像について定量的な比較を行う.フィラメントの作製まで予定通りに進んでいるが,溶接完了までの放電回数が多く,予想していたよりも溶接が困難である.これは突き合せ角が60度と大きいことによる.60度にする理由は取り付ける台座が既存のものを使用するからである.台座の改良により突き合せ角を小さくできないかも検討する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 高電圧放電溶接法によるSEM高輝度フィラメントの作製

    • 著者名/発表者名
      今野武志,江頭 満,小林幹彦
    • 学会等名
      (社)溶接学会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜会議センター

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公開日: 2015-05-28  

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