研究実績の概要 |
平成26年度の研究では、初年度の結果を理解するため、フェーズフィールドシミュレーションを用いて 塑性変形で導入されるひずみエネルギーの組織形成に対する寄与を調べた。Alか飽和なα2単相の状態で局所的にひずみを導入してからγ相が析出する条件に保持するシミュレーションを行ったところ、ひずみを導入した箇所から優先的にγ相が成長する実験結果を再現することができた。このことから、局所塑性ひずみの導入によるγ相の生成位置の制御が原子レベルの積層の変化だけでなくサブミクロンオーダーのひずみ場の存在によっても影響されることが示された。また本手法をTi-Al系以外の合金系でも展開すべく、Ti-Al系と類似のHCP-FCC相変態が発現するAl-Ag 系での実験を行った。しかしながらAl-Ag合金単結晶育成が困難であったため、Al-Ag合金の超微細加工と光学特性評価の代わりに、Ti-Al合金で得られるナノフィンアレイをテンプレートとしたAgの微細構造制御とその光学特性評価を行うこととした。なお、これまでの成果をまとめた論文がActa Materialia誌に掲載されるとともに、日本金属学会優秀ポスター賞を受賞するなど高く評価されている。
Nanoplastic deformation on Ti-39 at.% Al single crystals for manipulation of every single gamma lamella Dai-Xiu Wei, Yuichiro Koizumi, Hiroaki Nishiyama, Akinori Yamanaka, Masahiko Yoshino, Shinpei Miyamoto, Kyosuke Yoshimi, Akihiko Chiba, Acta Materialia 76 (2014) 331-341.doi:10.1016/j.actamat.2014.05.031
Nano-plastic deformation on Ti-39 at.%Al single crystals for manipulating the precipitation of γ lamella,魏 代修, 小泉 雄一郎, 千葉 晶彦, 西山 宏昭, 山中 晃徳, 吉野 雅彦, 日本金属学会秋期(第156回)講演大会優秀ポスター賞, 東京大学, 2015.3.18-20.
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