研究実績の概要 |
H26年度までの研究で確立したAl過飽和Ti-Al単結晶への超微細塑性加工による転位組織の導入とそれを用いた層状組織の高度な制御方法を応用した研究を試行した。Ti-Al合金と同様のHCP基/FCC基積層層状組織を形成するAl-Ag合金への適用は、単結晶の作製自体が困難なため中断した。また、Ti-Al合金単結晶で形成したナノフィンアレーをテンプレートとする手法は、その前にナノフィンアレイの大面積化が必要であり、それには超微細塑性加工装置の仕様の変更が必要であり、単年度の残予算でそれを遂行することは困難であった。そこで、Ti-Al合金多結晶を用いて、大面積で種々の方向に配向したコロニーからなるナノフィンアレイ構造の形成と制御を行った。種々の温度とひずみ速度でTi-Al合金多結晶に塑性変形を加えてからα2+γ二相化熱処理を施すことにより、コロニーサイズ5μm以下、ラメラ間隔50nm以下の層状組織を得ることに成功し、その選択溶解により、均一微細な層状の多孔体が得られることを直径8mm 高さ12mmの円柱状試料を用いた実験により実証した(Dai-Xiu Wei, Yuichiro Koizumi, Yunping Li, Kenta Yamanaka, Akihiko Chiba, Submicron lamellar porous structure formed by selective dissolution of Ti-Al alloy, Materials & Design, Vol. 98, No. , pp. 1-11, May, 2016)。また、そのメカニズムを詳細な転位組織により解明した。一方で、当初の単結晶を用いた研究で見出されいたナノ塑性加工による転位組織の形成機構についてもより詳細に解析し、大面積化のための加工方法開発のための基礎的知見を得ることができた。
|