研究課題/領域番号 |
25630323
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
若井 史博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30293062)
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研究分担者 |
水野 潤 早稲田大学, 付置研究所, 准教授 (60386737)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 焼結 / 3次元トモグラフィー / テープ成形 / 微構造解析 / 高温変形 |
研究概要 |
焼結は膨大な粒子の関与する複雑な現象である.本研究では先進的な製造技術の革新につながる基盤を築くことを目的として,焼結における複雑なミクロ構造を3次元再構成し,微視的な構造と焼結の動力学との関連を探求している. 本年度は放射光X線マイクロトモグラフィーによりテープ成形したガラス球粒子の粘性焼結における気孔構造を焼結中の複雑な3次元気孔構造変化の直接観察を行った.粒径8µmのソーダライムガラス球粒子を分散したスラリーをアルミナ基板上にテープ成形した.初期膜厚は300µm,相対密度は61.5%であった.焼結温度は750℃で,焼結時間を変えて64%から98%までの相対密度をもつ試料を作成した.放射光X線マイクロトモグラフィはESRFで実施し, 一辺0.28µmの立方体をvoxelとして3次元再構成した. ガラスの粘性焼結の巨視的な構成方程式は,流体力学の基本方程式をもとに応力やひずみ速度の体積平均を定義して導出できる.焼結応力が焼結の熱力学的駆動力である.ひとつひとつの閉気孔はそれぞれ異なる局所的焼結応力をもち,表面エネルギーテンソルで表せる.巨視的な焼結応力テンソルは局所的焼結応力の体積平均として求めた. 薄膜の拘束焼結では,収縮は膜厚方向のみで起こる.膜厚方向の焼結応力成分 が最も大きく,かつ面内異方性が観察された.異方性は焼結初期で最大であり,緻密化とともに低下し,最終段階で消失した.この結果より,異方性はテープ成形プロセスにより導入されたと考えられた.ソーダライムガラスの表面エネルギーから焼結応力は0.2~0.15 MPaと推定された.これは焼結鍛造試験により実験的に求められた焼結応力と同程度であった.表面エネルギーテンソルの偏差成分の解析より,テープ成形した薄膜中の面内や厚み方向の異方性を定量的に評価できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は本来、は収束イオンビーム(FIB)により加工した断面の走査型電子顕微鏡像により複雑なミクロ構造を3次元再構成するFIBトモグラフィー技術について検討してきているが、本年度はその技術をさらにX線トモグラフィーにまで展開して、ナノからミクロスケールの構造解析を可能とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、より粒径の小さい原料を対象として、ナノメートルスケールのFIBトモグラフィーの高分解能化を推進する。
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