研究課題/領域番号 |
25630327
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三宅 正男 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (60361648)
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研究分担者 |
平藤 哲司 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (70208833)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電析 / 電解 |
研究概要 |
タングステンは難加工性の材料として知られるが、近年、デバイスの小型化や高性能化のため、微細形状化のニーズが高まっている。微細構造形成技術として、電析法の適応が考えられるが、タングステンは水溶液から単体金属として電析できないため、タングステンの電析技術は十分に確立されていない。本研究では、タングステンの単体金属を 100 °C 付近で電析する技術の確立を目指し、有機溶媒を電解浴として用いる電析法について検討を行った。 ジメチルスルホンに 6 価または 4 価の塩化タングステン (WCl6 または WCl4) を溶解させた浴からのタングステン電析を試みた。ただし、これらのタングステン塩のジメチルスルホンへの溶解度は低いため、支持電解質として塩化リチウムまたは塩化アルミニウムを浴に加えた。支持塩として塩化リチウムを用いた場合、WCl6 および WCl4 のどちらの塩を用いた際にも、タングステンの電析は認められなかった。一方、支持塩として塩化アルミニウムを用い場合には、WCl6 を溶解させた浴からはタングステン電析は起こらなかったが、WCl4 を溶解させた浴からは、タングステンを含有する非晶質の電析物が得られた。真空中で熱処理を施した結果、電析物は結晶化し、XRD により酸化タングステンが検出された。したがって、電析したタングステンは、金属状態にまで還元されていたわけではなかったことが明らかとなった。金属タングステンを電析するためには、酸素を含まない溶媒を用いる必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
タングステン電析に適すると考えられる溶媒の選定基準について知見を得ることができたが、実際にタングステン電析が可能な溶媒を特定するには至っていない。さらなる溶媒およびタングステン塩の組み合わせの検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
タングステン電析が可能な浴を見つけることを目的に、様々な溶媒およびタングステン塩の組み合わせを検討する。さらに、より緻密で平滑なタングステン膜を、より高い電流密度で電析することを目指し、電析条件の最適化を行う。
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