研究課題/領域番号 |
25630331
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
楊 明 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (90240142)
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研究分担者 |
清水 徹英 首都大学東京, システムデザイン学部, 助教 (70614543)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | スケール横断加工 / プレス成形 / 金属箔材 / 表面転写 / 高真空プレス装置 |
研究概要 |
本年度の研究実績概要を以下に示す。 1.二平面間における遷移金属薄膜のナノ構造自己形成・転写挙動の基礎特性の解明:(a)酸化膜基材へのAu蒸着膜の形成とナノアイランド形成条件の基礎的検討-V-Wモード成長を発現させるため、安定した酸化物膜上に活性の高いAuを蒸着し、ナノアイランド形成に至る基材表面特性、蒸着膜厚および熱処理温度・時間等が構造に及ぼす影響を検証した。基板材料には、純チタンおよびステンレス鋼箔材の利用を検討した。(b)ナノアイランド成長過程における並行平板間距離の影響-上記で明らかにしたナノアイランド形成条件下でAu蒸着した基板と対を成す並行平板を用意し、その平板間距離によるナノアイランド形成過程への影響およびナノ構造の転写挙動の実現可能性を検討した。特に各種加熱温度条件、膜厚による影響度の違いを検証した。 2.高真空環境下でのマイクロプレス成形システムの構築とプロセス条件の検討:(a)高真空環境下でのマイクロプレス成形システム設計と製造-真空プロセスとの融合化をワンプロセスで実現するため、本研究ではマイクロプレス成形システムを真空チャンバー内に構成し、高真空環境下での被加工材の塑性加工を実現するため、既存の真空蒸着装置のチャンバーを改良し、プレス駆動力のモーター、プレスの変位計、荷重ロードセルを含めた測定系、被加工材の送り装置を装備した実験システムを構築した。高真空環境下およびナノアイランド形成のための高温下における、各種駆動系、測定系の動作確認を行った。(b)融合化プロセスの基礎実験によるプロセスパラメータの解明-(a)にて設計・制作したマイクロプレス成形システムを用いて、本研究における融合化プロセスにおける基礎的検討として、マイクロハット曲げ試験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は計画通りの項目1と2を実施し、金属箔材へのナノ粒子転写に関するプロセスパラメータを把握できた。また,スケール横断加工を実現するための高真空環境下でのマイクロプレス成形システムを構築し、その動作確認、およびプレス金型を用いたプレス成形と表面転写を実施し、システムの有用性を確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究に関しては、当初の予定通りに推進していく予定である。ナノ触媒機能を有するマイクロチューブ型バイオセンサの試作と特性評価について、具体的には以下の項目を重点的に進める予定である。 (a)高真空環境下マイクロ深絞り成形の実現:ハット曲げ試験の展開としてより複雑な応力ひずみ状態である深絞り加工へ発展し、マイクロ円筒深絞りカップの作製を試みる。 (b)マイクロ深絞り加工へのナノアイランド形成プロセスの融合化:重点課題②で検証したナノアイランド形成条件を参考に深絞り加工へ適用する。側面形状が局面する事による転写プロセスの影響等を検証する。 (c)ナノ触媒機能の転写条件の検討:同じくハット曲げ試験により明らかにしたプロセス条件を参考にナノ構造の転写条件の検証と、プロセスの実現可能性を検討する。 (d)マイクロチューブ型バイオセンサの特性評価:(c)で作成したマルチスケールな機能を有するバイオセンサの特性評価を行う。表面ナノ触媒を有する場合と表面未処理の場合とを比較し、バイオ反応促進効果について検証する。特にナノ粒子の粒径や結晶性などの評価を行い、それらの触媒特性を高分子の酸化還元反応を用いて評価する。ナノ粒子の粒径、結晶構造などが触媒特性との関係を明確にし、その結果をフィードバックすることで、プロセス条件の最適化を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度、既存の真空蒸着装置のチャンバーの改良による高真空環境下でのプレス成形システムの構築が予定より低いコストで実現した。次年度は開発したシステムを用いて各種成形加工を行う予定である。各種金型の製作に予算が必要と予想されるため、予算を次年度に繰り越しをした。 具体的な使用計画を以下に示す。 1.改良したマイクロハット曲げ用金型を試作し、ハット曲げ加工を実施する。 2.マイクロ深絞り用金型を試作する。
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