研究課題/領域番号 |
25630336
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上野 智永 名古屋大学, グリーンモビリティ連携研究センター, 助教 (20611156)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | クラスター / 分子軌道計算 / 非対称性 / 白金 / 触媒 |
研究概要 |
本年度は、白金、金等のクラスター(原子数13)の化合物について分子軌道計算により、構造の安定性やスピン多重度の変化が構造安定性にどのような影響を及ぼすかについて計算を行った。金属ナノクラスターは、粒子サイズが小さくなるとバンドが離散化し、バルクの金属とは異なる性質を示すようになる。特に触媒反応の観点からは、粒子サイズと構造の制御により軌道のチューニングを行うことで、新たな反応を誘起し、今までにない触媒となることが期待されている。近年の計算機の性能向上により、未知の反応に対する第一原理計算が広く行われている。クラスターに関する反応解析を進める上で、安定なクラスター構造に関する知見が重要である。クラスターでは分子軌道が顕在化するため、バルクとは異なる構造が存在する。また、構造が異なることで反応性も変化する。本研究では、クラスターの構造安定性と反応性に関して研究を行った。13量体の白金と金のナノクラスターに対して、密度汎関数法を使用して、構造最適化計算を行った。Gaussian03プログラムパッケージを使用し、交換汎関数としてBecke3を、相関汎関数としてLee, Yang, Parrによる関数を使用した非制限ハイブリット汎関数を用いた。基底関数はLos Alamos ECP plus DZからなるLANL2DZを使用した。 構造最適化を行うとクラスターの対称性が高い構造と低い構造を計算した結果、対称性が低いクラスターのエネルギーの方が低いことが分かった。これは電荷分布の偏りが少なくなり、σ結合が増加したことによる。さらに、それぞれのクラスターの電荷とスピン多重度の変化に対するエネルギーの変化を調べた。クラスターに電荷を加えた時のエネルギー変化は白金の金で同じであるが、スピン多重度に対しては異なる変化を示した。この相違が元素によってクラスターの反応性が異なる要因であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、単体の金属クラスターの構造安定性に関する解析を進め、スピン多重度の変化が構造安定性に与える影響等を評価することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、銅等の異なる種類の金属のクラスター状態における電子状態の計算から、構造安定性等の評価を進める。また複合化することによる効果を明かにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画の変更に伴い、効果的な予算執行を行うために次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、次年度の国内旅費、および物品費として使用する。
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